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ーRe:VIVEー歪曲者たちのオペレッタ
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「…花びら、が5枚?中に…蕾?何の花?」

「外側のそれは、花びらじゃあない。花びらに見えるのは5枚の萼だ。そして内側の筒状のそれが花びら。それは…苧環(オダマキ)だ。」

ふと響いた第三者の言葉にクシェルは素早く顔を向けるが、相も変わらず食えないこの上司は、その存在を認知していたようで、扉の前に立つ色濃いサングラスの男に視線を向け、促すように小さく頷いて見せた。

その視線にふっと笑った彼独特の煙の匂いが、やけに鼻につく。
気に入らないのは煙草のせいだけではないが。とクシェルは思う。

「ジョルジオ…その花には何があるって?」

目が笑わない笑みを深くしたクシェルに、彼が無言で指差したのは、手元の黒い封筒だった。
気に入らない、と体全身で訴えるクシェルに、ジョルジオはサングラスの奥の瞳を細める。
彼はいつの間にか上司の隣に立ち、陶器のような白い手の中にあるもう一輪の花を奪った。

「苧環の花言葉を知っているか?」

苧環。
何も言わないクシェルに、ジョルジオは喉の奥で笑って続けた。

「…苧環の花言葉は、必ず手に入れる。そしてこの花の色は紫。それは、勝利への決意。複数の花言葉を持つこいつが、二輪ある意味。」

わかってんだろ?とでも言うかのようなジョルジオに、クシェルは眉間の皺を深くする。

「俺たちが愚か。そして、捨てられた恋人、とでも言いたいんですか?」

面白くなさそうに後を続けたクシェルに、ジョルジオは口元をにっと歪めて笑った。

そんな彼らを見やり、凝った装飾のついた重い引き出しから二枚の紙を取り出した上司に、いつの間にやら、甘い独特の匂いを放つ煙草を燻らせたジョルジオは、ひらひらと小さな紙を振って見せた。

「…この手紙に同封されていたのは苧環だけじゃない。」

そう言ってジョルジオが投げて渡したのは一枚のチケットだった。

『今こそドゥーディー家へ。さぁさこれだけでわかるでしょう?待ち遠しいあなたに最大限のおもてなしを。』

「今回の件同伴はお前だそうだ。クシェル。…Ciao.bella. 報酬は、また後で」

小さく書かれた今日から今日から三日後の日付に面倒そうだと笑うクシェルに吐き捨てるように呟き、目の前の麗人には恭しく笑って見せたジョルジオは、さっさと部屋から出て行ってしまった。




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