ーRe:VIVEー歪曲者たちのオペレッタ
2
毛羽立った絨毯のような鉛の空が一面に広がり、森の空気はいつもより閑散としていた。
家から一歩外に出るのがためらわれるような寒さのある冬の日。
ーロンドン郊外。
時が止まったかのように音のない深々たる林の中、寂れた屋敷だけがぼんやりと浮かんでいた。
鴉の一羽もいやしない。
それどころか虫の羽音一つ、物音一つしやしなかった。
生気の感じられない殺風景な枯れ草が広がる庭園で、二人の男が背を丸めて立っている。
そこにある音は潜めるような二人の呼吸の音だけだった。
まだ昼だというのに光の差し込まない曇天はどこまでも濁っており、辺りの空気も重い。まるで足に重りをつけられたかのように身体が重い。
「自殺だろう？」
「そうだな…。しかし気持ちの悪い事件だな。」
地元警察の制服に身を包んだ頬のこけた男と小太りの男が、ひそひそと話し込んでいる。
勤務中だというのにいつの間に懐から取り出したのか、痩けた頬を寄せ煙草を燻らす同僚に、肥えた男は見向きもせず、怯えたように屋敷をみてため息を吐く。
そんな視線につられるかのように煙を揺らして顔を向けた男は、ただでさえ曲がった背を更に深く丸めた。
煙草を持つ手はわずかに震えている。
「…しかしなんでまぁこんな死に方しなさったんだろうね。」
魂の抜けた肉の破片を足でつつきながら、猫背は、ややと眉をひそめた。
「これじゃあまるで」
「噂通りじゃあないか。」
男は煙草を燻らせながら、小さく笑っていた。
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