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うーん。

やっぱ今日は遅くなるな。
みんなちらほら帰り始めた。

最後まで残るのは僕だけになりそう。


「中嶋、今日徹夜コースか?」


同僚が話しかけてきた。

「に、はならないかなぁ。たぶん日にち変わる前には帰れるかな。」


「お前、ぽやーっとしてんのに仕事なかなか早いよな。その件片付いたら今度飲みいくべ。」


「うん。ありがとう。ぽやーっとしてる?あれ?シャキシャキ生きてるつもりだった....」


「あはははっまじか!!!天然か!」


なんかうけてる。

楽しそうで何よりだ。


「あっお前部長には気をつけな。」


ドキッとした。

「な、んで?」

「お前、解ってるだろ?普通じゃねぇもん部長のお前にたいする態度。
お前さー男だけど、なんか美人くんだから男女変なきぶんにさせちゃうんだよ。」

なにそれ。

「とくに部長はお前を舐め回すように見てるからな。きもいよな。
エスカレートしないか俺、ちと心配なわけよ。」


良い人だな。


「大丈夫。恋人いるってさりげに言うよ。」

「えぇっいるの?」

「うん。素敵な恋人がいて同棲もしてるよ。」

「そっかーへぇ。お前いるのかーなんか悔しいな。可愛い顔してやるなぁ」


同性だとは思ってないんだろうな。

聞かれたら言うけどわざわざ自分からは言わない。


「じゃっ気をつけろよ。お先!!」


「ん、ありがとう。お疲れさま。」


さて頑張りますかー!!


.
.
.
.
「お?まだ残ってんのは....中嶋かぁ?」


ハッとした。

周りは僕のデスク以外真っ暗。

夢中になりすぎて1人になっていたのに気付かなかった。


「えっあっ部長、なぜ?
明日には仕上がりますから...僕だけで平気ですけど。」


「いや、なに!飲んでたら心配になってなぁ〜引き返してしてきたよ。」


飲んでるせいかちょっと声が大きい。
ありがた迷惑...かも。


「まーまー!!!座れ座れ。肩!
肩揉んでやるからっ」

ぐいっと椅子に座らされ肩を揉んでくる。


「あの、まだ仕事残っていて....少しで平気なんでっあのあのっ」


何となく頭の中は赤信号が点滅状態。


スルスルと肩にあった手はワイシャツの第1ボタンを外そうとしている。

「こーんなびっちりボタンしめてたら苦しいだろぉ〜?緩めてやろう。
中嶋は本当に白い肌だなぁ」


「やっあの、あっ」

ボタンを開けられ手が胸元に入っていく。


誰かっ

恐いっ




やだやだやだ条!!!



「中嶋尋さんいますぅー?」


突如暗いオフィスに響いた声。


驚いてバッと部長の手が素早く抜かれる。


あ...



「条.....」



もはや泣きべそ状態で愛しい人の名を呼んだ。









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