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小説
C朝食の前にデザート?
条は何か考え込んでいるようで…

話してくれない。


「条ごめんね?僕、部屋から勝手に出て心配させたね。
凄く素敵な砂浜でね…楽しかったんだ。」


「…心臓止まるかと思った。」

条がポツリと話し出した。


「トイレにも…テラスにもいなくて…メモを見つけた時は…」

条は苦しそうな表情を浮かべた。


「あぁ居る。ちゃんと生きてるってまず思った。」



「条…」


「昨日の夜、あんな話し聞いたせいか…尋がどこかに行ってしまったらって急に怖くなって。」


条…条…


「大切な人を失う恐怖ってこんな感じだったんだな…。参ったな…」


顔が見えないくらい俯いて手の平で顔を覆っている。


たまらなく条の胸に抱きついた。

上を見上げれば、条の目尻が少し濡れていた。


「ごめんね、ごめんね!!不安にさせたね…僕いるからね。これからは起こすなり何なりする。ちょっと僕、勝手すぎたね…」


「いや、俺が束縛酷いだけだし…でも1人でうろつくのは勘弁してくれ…早朝の砂浜は危険だから、まじで!!普通に殺人とか砂浜ってあるし。波に飲まれたら人気無いからほぼ助からないし…」


世間知らずな僕のせいで条にもお兄さん達にも拓海さんにも迷惑をかけてしまった。


「ごめん。気をつける。泳げないから波にのまれたら確実に助からないからね僕…」


「いや…まぁ…もう良いや…」


条は少し呆れてしまった。


「じゃ、仲直りにチューしよっか♪」


「だっ駄目!!もう朝食の時間だから皆一階に集まってくるし!!」

「じゃこうすれば関係なーーい♪」


スルリとベンチに押し倒され、背もたれで二人の足と条の背中しか見えなくはなっている。


「もう…怒鳴らないし、さっきの男たちにも謝ってくるから…ごめんな尋。」


ずるい。

こんな時ばっかり宝石のような甘い瞳でこちらの目をそらせなくするんだ。


すっかり日は昇りきってキラキラとした海が横目に見えつつ僕たちは朝食の前に甘い甘いキスをした。

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