小説 B接触 「あっねぇねぇ条くんだよー!」 「格好いいよねー」 キャーキャー女の子達が色たつ。 僕とはおおよそ縁の無い男だなぁ。 話すことも無いだろうなー あ、桜がかなり散ったなぁ。 もう4月も後半かぁ 早いなー この県立平丘高等学校に入学してグループもだんだんと固まりはじまる。 だけど僕は少し浮いてるのか… よく解らないけど特定の友達はいない。 適当に話し適当に付き合う。 あ、いつも綾瀬条の周りには女の子達しかいないな。 うん。もてるなぁ… なんて散りゆく桜を眺めていると 「中嶋…なんてゆーの?」 いきなり噂のモテモテ男、綾瀬条が話しかけてきた。ついでに周りにいた女の子達までいる。 だけど僕はいつもとかわらない接し方しかできない。 「う〜んと、千と千尋の神隠しの千尋の尋だよ。ひろって読むの」 … ぶっ ん?周りが口に手を当てて震えている… あっ 「千と千尋の神隠し知らなかった?」 と返したら 「もうダメっ」 「中嶋くん可愛いーっ」 あはははは 皆さん笑ってらっしゃる。なんでだ?可愛いって?綾瀬まで肩揺らして。 「ふっくくくっ尋…ひろ。良いね尋…」 目に涙を浮かべながら何故か優しい目で僕の名前を繰り返した。 綾瀬条… 不思議な男… 「尋…か…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |