小説
A
「かっかわっ可愛いかわかわ....!◆$」
またもや条のブツブツタイムが始まった。
「なに?川?」
「ちっがーう!!!!浴衣姿可愛いすぎ!!やばいよやばいよ。紺色の破壊力凄まじいよ。色白美人ってこういうことか。まずいよオイオイ」
なんか某お笑い芸人さんみたいになってしまった残念なイケメンだ。
だけど条の浴衣姿はすごくすごく格好いい。
深い深い茶色の生地に金の刺繍。
すごくシンプルなのに素材が良いから逆に目立つ。
何でも似合うなぁ。
「あーよし時間だし行くかぁ。あんま室内いると悶々とするわ。」
「うん?行こう行こう」
「外でも我慢できるかな.....」
「何か言った?条変だよーさっきから。」
「スミマセン。自重します。行こうか。腹減った。」
近くだから10分もしないで着いた。
6時過ぎなのにまだうっすら明るい空。
小さな神社に人が沢山。
「おわっすげー人。クラスのやつらとかいそうだな。」
「ねっ。会いそう。あっリンゴ飴食べたいっ」
「おっ買うか。」
あまり並んでなかったのですぐに買えた。
甘くて美味しい。
子供のころ好きでよく買ってもらった。
でも食べきった記憶がない。
「もう大きくなったから全部食べきるぞっ」
「えっなんの宣言?無理しなくても......大きくなったからって....」
ぶふっ
と口に手を当て吹き出した条。
む、失礼な。
「てか尋、唇赤くてテカテカ〜エロい〜♪」
「また、条は。今日はお祭りだからセクハラ禁止っ」
すぐにエッチな事言い出すんだからさ。
「お祭りの間は、ね」
ニヤッと笑った条に背筋がゾクゾクっとした。
なんか悪いこと考えてる顔だ。
「あーーっ綾瀬じゃんっ」
四人組の男たちが指さして叫んでる。
ん?クラスメイトかな?
「おーやっぱ会ったな。チッ斉藤もいるし。」
条が急に不機嫌になった。
「あっ本当だ。斉藤くんたちだね。」
「よーあれ?中嶋?」
なんだっけ名前。
斉藤くん以外あまりわからないや。
ダメダメだな僕。
「うん、中嶋だよ〜久しぶりだね。メガネ外してるからわかりづらいかなぁ」
四人ともなんかジーっと見て固まってる。
あっあれ?
浴衣似合ってない?
調子のっちゃったかな僕。
ベラベラ喋りすぎた?
いてもたってもいられなくなり遂に僕は
泣いた。
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