[携帯モード] [URL送信]

小説
C条side
尋が……


盛大な勘違いをして怒って走って行ってしまった。




え、あそこで普通身代わりとか思うか?




尋に対する愛の告白に近い台詞だったと思うけど…


でも何で身代わりにされたら嫌なんだ?




身代わりじゃあなかったら?






抱き締めたい。





あの細い体を抱き締めて…艶々と輝くサラサラな黒髪を指に絡ませたい。






そして…キスをしたい。








諦めるもんか…やっと見つけたんだ。たった1人の人なんだ。



こんな事で尋を離したりなんかしない。




離してやらない…




俺は尋が行ったであろう最上階…屋上へ走り出していた。







泣いていた…俺のせい?






尋……!!




屋上のドアを開けようとした





「じょうっ!!」




尋の悲鳴に近い声。




俺の名前を呼んだ…




ドアを開け状況を見たら、一気に頭に血がのぼった。



尋は体格の良い三年であろう男達に壁に追いやられていた。

尋の腕を掴み、一方の腕は胸元のボタンを開けようとしている。




尋はそいつらより遥かに小柄な身体を震わせて泣いていた。



顔は真っ青で怖かったのだろう。



できるだけ冷静に…尋が怖がる。


俺が現れた瞬間、三年生たちは真っ青になった。




「げっ綾瀬条!!」



「ねぇ先輩たち…尋怖がってるよ?離してくんない?」



多分顔は笑っていたが、血管はピクピクしていたと思う。





「やべーよ。早く行くべ!彼女がこいつの滅茶苦茶ファンなんだよ…」


「あっあぁ…じゃあな…」



ふん…俺にまとわりつく女の子達に嫌われるのが怖いんだな。




パッと尋から体を引いて男達はそそくさと去っていった。



「…じょう」



涙目の尋が呟く。震えてる。






「条…ありがっ」
グイッ



俺は無意識に尋を引っ張り、抱き締めていた。





抱き締めたいと思うのは君にだけなんだ…尋。







俺は君が好きだ。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!