小説
O
じゃーん!
と持ってきたカクテルはそれはそれは綺麗で艶やかな彩りだった。
僕のカクテルは何とも言えない妖しい色で青っぽい白のような…
「何かねー清潔さと隠れた色気を表現してみました♪
花にしたらブルーローズかなぁ。
ブルーの薔薇は人工でしか存在しないからね。
意味としてみたら存在しない、有り得ないみたいな…」
「まぁ尋は有り得ないくらい可愛いし色気あるし性格良いからな。希少な存在だな。合ってるな。」
条が何故か誇らしげに語る。
僕は何だか恥ずかしい…
色気あるかなぁ。
条のはまるでルビーのようなキラキラした赤い色。宝石みたいだ。
「まぁー条は宝石だよね。女が群がる群がる。やっぱ華やかだしな。」
「解ります!!僕、どれだけ離れていてもすぐ見つける!!オーラがあるのかな。」
「あーそういうの条はあるよな。持って生まれた物だから羨ましいよな。」
いやいや拓海さんも充分にオーラの塊な美形です。
条がヤキモチ焼くから言わないけど。
「尋もオーラあるよ。まるで狼の群れの中に血統書つきの子猫ちゃんがいるみたいな♪」
ぶはーっ!!
と2人で笑っている。
「言い得て妙〜!!うまい!!まじでそんな感じ!!」
「もう…さっきから僕笑われている!!」
「あ、ごめんごめん尋ちゃん!!
可愛いから、からかいたくなるのよ♪
じゃお邪魔虫は退散するわー。何か欲しかったら厨房声かけて!!」
「おー」
拓海さんは厨房に去っていった。
「それでは…」
条がグラスを手に取ったので僕もいそいそと手に取った。
「これからもよろしくね尋…」
「こちらこそ…浮気…しないでね。」
「ったく可愛いこと言うんだからー!まじで押し倒したくなるから…」
真っ赤になってしまった。
ジッと見つめる条の茶色い瞳が妖しく光るから…
「じゃ…俺らの初旅行に乾杯!!」
「あっかっ乾杯。」
カチンとグラスを合わせた。
楽しい会話に美味しいカクテル、彩りの良い絶品の食事に美しく格好良い恋人。
僕はノンアルコールなのにその場に酔った。
食後テラスに留まりハーブティーを飲みながらまったりした。
紫に近いタンザナイトのような夜空に静まり帰った深いブルーの海に僕は何だか泣きそうになってしまった。
あんまりに幸せで…
泣いてしまった。
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