小説
E条side
尋と歩くこと三分でビーチに到着。
すごく嬉しそうな尋に俺も顔が綻ぶ。
「着いたねー。凄い綺麗。キラキラだねー」
ウットリと海に見とれる尋。
可愛い…
可愛いんだが、尋をチラチラ見る野郎共が気になる。
男って解っても近づこうとする野郎もいるくらいだからな。
「そんなに可愛いく笑って…」
「ん?」
キョトン顔もいちいち可愛い。
「条ーパラソル借りなきゃだね。僕、肌が弱くて…」
申し訳なさそうに言う尋。
「いや、借りるつもりでいたから!!尋の柔肌を火傷させらんないって。」
尋の真っ白なきめ細かい肌は、刺激や太陽に弱い。
夏の、それも海での直射日光なんて尋の肌がボロボロになってしまう。
「尋、美夏さんから貰った低刺激の日焼け止めもう一度塗ろうな。」
少々値は張るらしいが天然物や無添加物を集めている美夏さんが尋にあれこれくれた。
「ありがとう。本当に美夏さんも条も優しいね。」
尋には優しくしたくなるんだ。
庇護欲を駆り立てられるのか、何かしてあげたくなる子なんだ。
俺はプラス愛情だ。
「気にしない気にしない♪パラソル貸し出しのとこ、行こうか。」
「うん!!」
パラソルを借りて、ササッと設置。
勿論、尋には手伝わせない。
プクッと拗ねた尋。
「だって怪我したら海、入れないよー海はばい菌だらけだからね〜」
「…役に立てなくてごめんね。」
シュンとしてしまった。
「尋ー。もういいから!!尋は俺に甘えてね♪」
それが楽しみなんだから。
「好き。条好き。」
小声で愛を囁く尋。
「尋ちゃーん。俺も海どころじゃなくなるから煽っちゃ嫌♪」
「あっえ?あおっ?」
「ま、いいからいいから!んじゃ海入ろっか♪」
お互いにパーカーを脱ぎ、尋に丁寧に日焼け止めを塗る。
変な気分になったが耐えた俺。
ザザー…ン
「わぁっわぁっ足ー!砂が通るー!」
珍しくハシャぐ尋。
「気持ち良いー!条〜」
「ね♪気持ち良いなー。貝の破片、気おつけてねー」
尋が目を丸くした。
「条お父さんみたい。」
あははっと笑う。
太陽の下でパシャパシャ遊ぶ。
尋の笑顔だけで充分だ。
「尋、そろそろ休憩しよ。昼飯食おうよ。」
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