小説
B
ひ…ろ…
尋ー
「おーい、尋ー」
ん?
「な…に?あれ…寝てた?」
「うん、寝不足だったんじゃない?」
ニヤリと言う。
イヤラシい笑顔に昨夜の行為を思い出す。
「まぁまぁ、窓の外見てみな!」
キラキラキラキラ
ザザー…ン
青い空、眩しいくらいにキラキラ光る穏やかな海。
そう。今僕達は拓海さんのお母さんの車でペンションに向かっている。
「尋ちゃーん♪起きたのー!!可愛い♪もう条がメロメロなの解るー♪」
結構テンションが高くて良い人です。
「かわっ?そんな…あの、わざわざ車出して頂いて…ありがとうございます。」
カラカラ笑う美夏さん。
「いーのいーの!!あはははーあっ、拓海今ペンションでバイト中よー可哀想ねぇーあはははー」
拓海さん…っ可哀想…
「まぁ、夏は毎年恒例だから。」
条がサラッと言う。
「昨年は条も手伝いに来てくれた時はーもう凄かったわー!!」
何となく解る気がする…
「拓海も条もみてくれは良いからねー!!2人に女の子騒いじゃってたーいへん!!」
…女の子…
ジッ…
「いや、尋。俺もさすがに身内のペンションで客に手を出したりはしないから!!」
でも…面白くない。
「ふぅ…ん。」
へなへなと頭を垂れる条。
「尋〜むくれないのー。でも可愛いー♪」
「あはははー本当に首ったけだぁ!!今年は尋ちゃん見張っときなー!!ペンションの客、大学生の野郎ばっかだからねー」
「まじか…」
険しい表情になる条。
「なんで僕は見張られるの?」キョトン
…
「あはははーなんも自覚なーい!!条も大変だぁ!!」
「も…尋の天然お馬鹿さん…」
今度はお馬鹿さんになってしまった。
ペンションに着くまで美夏さんの賑やかな笑い声が車中に響いた。
楽しい事が待っているんだと、気持ちが高揚していく。
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