小説
F
「お邪魔しまぁす。」
条の家は、流石お坊ちゃま。
まず、門をくぐりそこからまた歩く。
歩いてる間にも赤、黄、ピンク色とりどりの花が陶器の鉢に入れられ芝を埋め尽くす。
土地の中にもう一つ家が入りそうだ。
ガレージには高そうな外車が二台。
「世界が違う…」
思わず口から出た。
「そ?確かに金持ってるよなぁー親がね♪」
いつも通りの条だ。
何だかほっとした。
美形の無表情ほど怖いものは無い。
道中ずっと無言、無表情だったから…
少し泣きそうになった。
真っ白な大きな家。重厚なドアを開け、二階に通された。
高そうな置物や、白や青の薔薇がアチコチに。
「凄い!!青い薔薇!!染めたやつかなぁ。きれーい。」
花は割と好き。
「さぁ…母親が花好きだからねぇ。尋と気が合うかもね。」
また…
笑ってるのに。
笑ってない。
切れ長の目がつり上がった。
「さぁどうぞ。俺の部屋だよ。無駄に広いから寛いでね。」
うわ…広…
綺麗にしてあるなぁ 。20畳以上はあるかな。
「条っぽいね。あまり余計なものは置かないって感じ。」
「誰か連れ込んだの初めてだ。まぁ男友達なら来るけどね。好きな人は…尋が初恋だし。」
何だろう。そわそわする。
緊張する。
「条…あの今日は斎藤くんと話していたの気にして」グイッ
視界が反転した。
条は僕をベッドに放り投げた。
「斎藤が…そんなに好き?話して嬉しいの?
俺以外の男と話して。尋は…淫乱だったんだね。」
両腕は条にきつく拘束され全く動かない。
目は細められて、獣みたい。
もう逃げられない。
そんな気がした。
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