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お題
1無意識の恋のゆくえ



ふと気づけば、やたらとリセスはモテる。

口調なんて上からだし、どうでも良さそうな目で人を見るし、あんまり笑わないし。
かといって笑えば妙に人を小バカにしたように鼻で笑いやがる。

それに男にしちゃあ、小さい。
俺と張り合うぐらいだから165cmそこそこだろう。
17歳の健全な青年の中で見れば可愛らしい身長じゃないだろうか。



だからと言って、モテることが腑に落ちないでもない。
リセスは人の目を引く。


キリッとした眉、若干つり目がちな切れ長の目、筋のとおった鼻。
ビスクドールのようなキメ細かな肌、うっすらと紫がかった髪は風に吹かれると柔らかく靡く。

どこか孤高を背負ったような雰囲気が妙に神秘的に見える。


それに何処と無く優しいのだ。
優しさに触れるか触れないか、気づくかどうか曖昧なほど細やかでそれでいてそんなそぶりを見せない小さな優しさ。
気遣いといってもいい。


そんなはっきりとしないものが目を引き付ける。



女の子達が遠巻きにリセスを見ながらキャッキャしているのを遠巻きで見ていた。

一人の女の子が、リセスに駆け寄る。
金糸の髪を耳元で二つにくくりつけた、どこか幼い女の子。
長いドレスが走るたびにふわりとふくれる。
日光を浴びた髪はキラキラと光って見えた。



「お似合いじゃん」



ふと溢れた言葉が妙に寂しそうに聞こえて驚いた。


笑ったつもりだった。
ニコニコ笑う女の子とリセス、絵になるよな、と笑ったと思った。


でも、言葉にすると弱々しくて。



「なんだってんだよ」



自分の体なのに訳のわからない反応をされるのが気持ち悪くて、がしがしと頭をかく。
しゅんと締まるような胸も訳がわからない。



「あー、気持ち悪いっ」



俺はリセスから目を離し、竹刀を自棄糞に振り回した。
とにかく気を紛らわさないと、自分なのに自分がわからなくなりそうで。
怖い?のだろうか。腹立たしいのだろうか。それすらもわからない。
ただ気持ち悪くて、俺らしくなくて、逃げたくなった。



「くそっ」



ただ疲れるだけで、無心になれるわけもなく。
ただ俺の中のもやもやがどうにもなら無いことだけが解った。
少し目をやればリセスが見える。それが原因ならこんなところに居てられない。



「なんだってんだよっ!」



俺は《始まりの家》に逃げ込んだ。




無意識の恋のゆくえ



これがリセスに対しての感情なら決して良いものではないと思う。






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