小説
3
昨日来たばかりの私達はもう学校の前に立っていた。
「ここが海常高校か、思ったよりかなり広いね」
「スポーツに力を入れてる学校だから、部活とかの施設の為に敷地が広くなっているんじゃない?」
「なんでそんなこと、知ってるの?私が教えてようと思ったのにー」
なんで知ってるかってそりゃあ…
「昨日、美奈子に教えてもらったからだよ」
「えっ、そうだっけ?」
「そうだよ、ついでに言うと何かこの高校には黄瀬涼太っていうモデルが入ってくるとも言ってた」
ここまで言うと、少し思いだすのではないか?
「そんなことも言ってた気がするような…」
美奈子は人が言ったことや約束は、絶対に忘れないくせに自分が言ったことはたまに忘れることがある。
「どうして美奈子は勉強面を生活の方に活かせないかなぁ…」
「う…うるさいな、頑張っているんだからいいでしょ!」
「はいはい、頑張ってるね」
と適当に返事をすると美奈子は頬を膨らませて少し怒っていて、それを宥めながら入学式の会場である体育館へ向かう。
長い校長の話が終わりやっと各自教室に移動することになった、今は、休み時間だ。
「あっ、主人公の名前」
「美奈子、どうした?」
トイレに行こうと廊下に出ると頬を膨らませた美奈子がいた。
「そうそう、主人公の名前聞いてよ〜」
「大丈夫だよ聞いてるから」
なんだか機嫌がよくないみたい、一体何があったんだよ。
「隣の席の金髪のピアスをした人が一目惚れしたっス俺と付き合ってって言ってきた」
おぉ、さすが可愛い女の子はやることが違うな、すぐに男を落としたかしかも無自覚で。
「それでどうなった?」
「初対面で誰か分からないから名前を教えて欲しいって言ったら、俺のことを知らないの!?って驚かれてさっきみたいな流れになった」
俺のことを知らないのと聞いてくるってことはこの高校に入ったと聞いたモデルの黄瀬涼太じゃないか?
「それで、最終的にはどうなったの?」
「勢いがすごくてOKしちゃったんだよね」
「それは相手に不誠実じゃない?」
「でも、あんなに必死に告白してくれたから断れなかったの、それにこれから好きになっていけばいいと思って」
あれ、美奈子はこんなに押しに弱かったっけ?
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