ホラー小説
ずれていく日常 後編U
ずれていく日常
後編U
九鈴がドアの前に倒れ込んだ優を家のなかに引っ張り込む。
優は優の意識の中で闘っていた…
水沫餓鬼と…
混濁する意識の中…
優は戦士のなりをして右手には槍を持ち鎧を纏っている。
水沫餓鬼は黒い影となって優をつきまとう。
優は槍で水沫餓鬼を突き刺すが無意味に終わる。
何度突き刺しても水沫餓鬼は復活する。
突き刺すのに疲れはてた優は泣き出してしまう。
いや、泣き出してるが死にたくない気持ちが混じってにげつづけている。
(なんでよ…こんなに突き刺しても復活するの…!無意味よ…。こうして私は水沫餓鬼にカラダを明け渡すのかなぁ…
もっと生きたかった…)
力尽きて槍を落としてしまう。あっ!と気が付いてももう遅い。槍は消えていった。
水沫餓鬼が人の形になる。
だんだんとこっちに近付いていく…
(誰だろ…。)
ジーパンをはいた足が暗闇の中に見えてきた。使いこなれたジーパンに黒のスニーカー。
上半身が見えてきた…
緑のTシャツ。可愛い水玉のTシャツ。
まさか
顔が見えてきた
ああやっぱり
私の姿になった。
「優。貴方の意識を乗っとるわ。貴方は生きながらせてあげる。あたしが皆殺しにした後でね…!」
辺りが真っ暗になる。
首筋に生暖かいものを感じる。気持ち悪い。
牙のような感触を感じた。
闇の空間に悲鳴が響き渡る
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