ホラー小説
ずれていく日常 中編V
作 天海千風
私は勇気を振り絞って美羽に話しかけてみた。
美羽の柔らかい肩をトントンと叩くと美羽はなぁに?とふりむいた。
そういうとこはいつもどおり変わってない。
「コップに…髪の毛あった?やっぱりあのプールのことが…。」
聞くと、美羽はキッと顔をしかめて捨てぜりふを吐いて行ってしまった。
「はぁ?意味わかんないんですけど?今度からあたしに話しかけないで。」
九鈴も美羽も失った優はただただ、そこにボーと突っ立ってるしかなかった。
その日の学校はとても退屈だった。九鈴や美羽といつも喋ってたのが一夜でパァン。
やりきれない気持ちになって教科書をバンと机に叩く。
放課後優は、九鈴の家にむかっていた。
相談しようとしたのだ。
九鈴の家に着いたとたん夏の暑い日なのに、黒い長袖を着た女の人が出迎えてくれた。
九鈴はいた。
「お姉ちゃん…昨日話したの…。優だよ。」
九鈴の姉らしき人は‘優’という言葉を聞くと優しい顔からキツい顔に変わった。
「この人が…優さん。」
「準備終わったよー。九鈴の部屋に皆集合な。」
九鈴のお母さんがそういうとお札をぺたっぺたっとドアにはり付けた。
九鈴はじーっと優を見つめて
「行こっ。」
と九鈴の部屋へ早歩きでいった。優もそれについていく。
「今日学校休んだけど大丈夫?」
「優も学校休んで。ここにずっと泊まった方がいい。」
「何で…?」
「美羽が戻ってきたでしょ。早すぎたのよ。本当は1ヶ月かけて…ね。」
「美羽は…?美羽はどうなったの?」
「多分水沫餓鬼に…負けたと思う。」
「優さん!この○の中に入ってこれを持ってて。」
九鈴のお母さんがそういった。
九鈴はもうそうしていた。
九鈴のお姉さんから黒い札を渡された。
○の中に入って座ったとたん、九鈴のお姉さんなどの家族がぞろぞろと部屋に入ってきた。
そして一斉に何かを唱えていた。
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