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ホラー小説
ずれていく日常 中編


作 天海千風



私は必死に美羽を引き上げようと美羽にまとわりついてる黒い髪の毛の束をひきはがした。


しかし黒い髪の毛はがっしりと美羽にまとわりついている。


ばっしゃーん!

九鈴が助けにきてくれた。

九鈴は手にハサミを持ち黒い髪の毛をじゃきじゃきと切り刻む。



だんだんと美羽が浮かんでくる。

美羽が水面に浮かんだ瞬間、黒い髪の毛の束のひとにぎりが九鈴と私に巻き付いた。


「ぷぱーっ!」

「ゲホっ…ゲホゲホ!」

「美羽…大丈夫?」

「はぁ…優も大丈夫?ごめんね…。あれは何だろう?」

九鈴がハサミを持ちながら

「ここはヤバイわね。」

優がすかさず

「何でここが危ないと言うの?ガッコのプールだよ?」


「…あなた霊感ある?」


はぁ?いきなりそれか?

「ないよ。九鈴はあるの?」

「ある。先祖が源氏に仕えていた陰陽師。私はその35代目。さっきの黒い物は…多分…。」

九鈴は右手をプールの水に入れてしゃがんだ。

美羽はぽかーんと眺めている。

「ばけもんなの?」

「そうね…。水沫餓鬼よ。」

「は…。」

「水沫餓鬼は水の近くにいるただの鬼。でもさっきのあれは水沫餓鬼の中に霊が乗移りヤバいもののけに。」

美羽の顔からさーっと赤みが消え、青白い肌になる。ガタガタと震えてタオルを握りしめている。

九鈴は冷静な顔で

「優。見たよね?さっきの髪の毛。」

「見たに決まってるじゃん。」


「そう…。私たちの体に巻き付いたよね?あれは水沫餓鬼の宣戦布告。これから何かしてくることを伝えたのよ。」

美羽がヒッと叫んでタオルにくるんでいる。

九鈴はハサミをじゃきじゃきといじって更衣室にしまいにいった。

更衣室のドアをくぐるとき九鈴はこういった。

「私なら水沫餓鬼に宣戦布告されたら水の近くには寄り付かないわね…。プールに入るの?」

美羽と優は一瞬固まった。あの優しい九鈴が冷酷になった。

美羽がやっと口を開いた。タオルを巻き付けながら泣き声で

「う…ひっくひっくプールから出る…。」

優も美羽や九鈴に合わせてプールからでた。

先生に説明して三人とも女特有の月のもの(S)にして休んだ。







次の日学校に行くとみんながざわざわとうるさかった。




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あきゅろす。
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