時の戦士
時の戦士 7
ウォータールカは身に付けると水の加護を受けるという。
ララミーは男が額につけるのはおかしいといい、首につけてくれた。
「ありがとう。…ララミーはジェラルドの居場所を知ってるの?」
「知っては…いませんが風に聞いたところ、ジェラルドはオギー沼にはいないそうです。」
意外だった。町の人たちはオギー沼にいると断定しているようだった。
「ララミー。何でオギー沼にいないの?」
「それは…わかりません。風に聞きますので待ってください。」
ララミーはそういうと否や、体を龍の姿に変えて空高く龍の形の水柱を作った。
龍の姿になったララミーは風に合わせて体を揺すらせている。
かれこれ5分は話していただろうか?
突然ララミーの体がパンッと弾け散った。
アレンはララミーが死んだかと思い、あぜんとした。
そして、大声で
「ララミー!!」
と叫んでしまった。
するするとアレンの前に水の波紋からララミーが出来ていく。
「んぱぁっ。」
ララミーが気持ち良さそうに息をする。
乱れたロングの髪を手で綺麗にまとめようとする。
アレンはそのララミーのしぐさにみとれていた。
「アレン。分かりました。風に聞いたらジェラルドはオギー沼に行ってはいません。行く途中で消えたそうです。」
「そうか。」
「ここに寄ったところ、ジェラルドは何かに怯えていました。そしてこの泉を枯らそうとしました。」
「え?どうやって枯らそうと?」
「本から毒を持ち泉に入れようとしました。私は水の精霊を呼び出しジェラルドを止めた。」
あの王様や町の人に信頼されている伝説の旅人ジェラルドがなぜ泉を枯らそうとしたのか理解できない。
「アレン…あなたは」
ララミーはキッと顔をしかめるとさっきのよりもパァンパァンと激しく弾け散った。
乾いた地面にララミーの水滴がつく。乾いた地面はそれを勢いよく吸い付き栄養たっぷりな地面に変わる。
「ラ…ラミ…ー?」
アレンは理解できかった。何故ララミーは突然消えたのだ?
アレンは後ろを振り向いた。ビンゴ。
ドミトリーが銃を持っていた。銃の銃口から煙がまだ出ている。
ドミトリーがララミーを撃った…?
「ララミーを撃ったの?」
ドミトリーは涼しい顔をしてさも撃って当たり前な顔をした。
「ああ。」
「何で?」
「あの女は悪魔だ。泉に男を引き込んで皆で舞わすような女だよ。舞わされた男は舞っているうちに生気を吸われるという。」
ララミーガソンナコトヲスル…?
違う…。
泉の中から小さな女の子が出てきて違うと説得し始めた。
ちょこんと頭の上におだんごをつくってリボンで結んだような可愛らしい女の子だ。
「ララミー様の泉は断じてそんなことはなさいません。ソンナコトをするのはララミー様の双子のお姉さまのナナリー様です。」
アレンがどきさまするように言った。
「もうひとつ泉があるんだ?」
「はい。ございます。」
ドミトリーはつんっと木の影にたってこっちを睨み付けていた。
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