地獄の裁判
地獄の裁判 C
「……ないわね」
いくらでも調べても見つからなかった。
「……サタナ…」
ドアからサタナをボソッと呼んでいた。
「……なに?」
聞こえなかったはずなのに!
カオンはびっくりした。
「なによ?」
「なんでもありません……」
「なによ!?答えて!」
サタナはドアを強く開けた。
「いい加減して!!」
カオンの服をつかんだ。
「………エンジェの所に行ってください」
「エンジェの所…。行きたいんだけど場所が分からないのよ」
「私は知りません」
カオンはぐずっと涙を少しこぼした。
言いたくても規則で言えない。自分で考え、自分で道を歩ければいけない。私はただ少し、一部だけアドバイスするのが仕事。
サタナ、許して下さい……
「あんたなんか…!」
サタナが手でカオンを叩こうとすると、
「ありがとう」
サタナがカオンにお礼を言い、部屋に戻った。
「……何で…?叩かないんですか?」
サタナはカオンの気持ちを知っていた。
やはり自分でやらないとね。
エンジェ…エンジェの城にいるのか?部屋にいるのか……?
いやもしも誘拐されたなら。どこにいる?みんなが行かない場所を選ぶはず。それは……。
サタナはすぐに場所が分かり、その場所に行った。
「……真っ暗ね」
何にも見えない。
その時、火ような色が見えた。
「……エンジェ?」
「んあ…?」
エンジェらしい姿が振ると、サタナはびっくりした。
確かにエンジェだが、やせていて、目の下はクマが出来ている。
「どうしたの!?エンジェ!」
エンジェの所に行ってもエンジェは消え、あちこちいる。
「コピー?」
『ふふふふ……っ』
気持ち悪い笑い声が聞こえた。
「当たり前でしょ?
美しい私がこんな私になるはずはないわ」
お嬢様みたいなエンジェ。
前は大人しくて、優しかったのに…。
「お前は汚いわね。見苦しいわ」
突然水をサタナにかけた。
「あっ……」
「すぐ消えてくれる?見苦しいのよ」
「どうしたの?本当のエンジェは?どこにいるの?」
サタナがエンジェに聞くと、
「本当のエンジェね…とっくにいないわよ。もう死んでいるわ。あなたにもこうなりたい?」
手から剣に変わった。
「この剣はいいわ…命がある。あなたは命に守られている。私は命がない。不死身なのよ…いつでも美しい姿でいられるのよ…!」
剣を舐めると血が流れ、
「あら…。血…美しい。あなたは美しいのかしら?」
剣でサタナを切ろうとした時、
「エンジェを殺して下さいっ」
カオンの声が聞こえた。
「うるさいわね」
剣をカオンに向かって飛び……
見事にカオンに刺した。
「あはふっ…!」
口から血が流れた。
「カオンー…!!」
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