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夜の銃弾
夜の銃弾 G
レイは訳が分からない様な顔をしていた。


(オレはただ綾に女王になるのは一年後に。と言っただけだ。なぜにんまりと笑う?)


レイははっとした。はっとした拍子にとなりにいたおじいさんがマグカップを落とした。コーヒーがレイのズボンにびちゃっとこぼれた。
綾はマグカップを落とした音でレイを見つめた。レイは分かった。



(オレの体の定めを見る能力が消えたのか・・・?)


綾が大きく手を振りかざして

「私は今すぐ女王になります!今すぐでなければならないのです!」

ワァーーー!


レイは苦虫をかみつぶした顔をして割れたマグカップの欠片を拾っていた。

実は綾が笑ったのは女王になったらレイに告白しようと思ったからだ。



レイが割れたマグカップの欠片を持ちながら綾にこう忠告した。

「女王になるのは一年後にと思ったんだがな。どうやらオレの体の定めを見る能力が消えたらしい。女王はきついぞ。」


綾は


「分かってるよ。戴冠式が終わったら話があるの。」

「話が・・・?」

おじさんが金のティアラを持ちながらレイにどくようにと目で合図する。
レイはそれをみて小さくうなずいた。
おじさんが綾に向かって手招きしながら黒いドアに連れていく。
黒いドアの中はもう戴冠式の準備が整いており、無数の人がずらりと座っている。
綾が

「もう準備が終わったんだ・・・。宣誓するのはあのステージ?」

「はい、あのレッドカーペットを歩きます。その前にドレスに着替えましょう。」

「ええ。」

白と赤のフリルドレス。
思わずほれぼれする。侍女がミニテーブルの上にあるくしとリボンで綾を綺麗にする。

そして女王になるレッドカーペットを歩く。人々が私を見る。そしてステージへ上がると盛大な拍手が響き渡る。
宣誓の時間。

「私中村綾は今この瞬間女王になります。名をシーラと改めて励みたいと思います。創造者を必ず和睦させていただきます。」


どす黒い低い声が響く。この声は聞き覚えがある。
それは・・・創造者。

「久しぶり。へぇ、シーラかよ。和睦?出来んのか?無理だな。無能な女王は死ね。」

胸から拳銃を取り出し綾に向かって撃った。

レイが綾の前に出て銃弾を胸に受けた。真っ赤な血がじわりと服に広がる。

みんなは大騒ぎで出口に殺到している。私たちの事は気にしてない。
創造者は十分だと思ったらしくゆっくりと歩く。
レイが綾の手を握り、

「そうか・・・オレは死ぬんだ・・・。綾、綺麗だな。オレに言いたいことあっただろ?何だ?」

「レイ・・・死ぬなんて言わないで。」

「言いたいことはそれか?違うだろ・・・。言えよ。」

「レイ・・・ずっと好きだったよ。」

「はぁ・・・。ありがとう。」
目をつぶる。綾は死んだかと思い、泣き出しそうになる。レイはまだ生きていた。綾の耳につぶやく。そして起き上がった上半身を、言った後バタッと倒れる。

綾は何も考えられなかった、頭のなかにあるのはレイが死ぬ直前言ったあの言葉

「オレも会ったときから好きだったよ。女王頑張れよ。ありがとう」

しかなかった。まだ綾はレイの死を信じきれなかった。

「レイ―ーーー!」



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