夜の銃弾
夜の銃弾 F
砂漠の道を綾はとぼとぼと歩いていた。レイと一言も話さずに。レイがようやく綾に話しかける。
「スウェーデンへ行く。ナイトブレッドの集会がある。綾も行くんだよ。」
「はぁ?いつよ?」
「1ヶ月後かな・・・?いや、来週だったか・・・忘れた。危ない。今すぐ行ってスウェーデンでゆっくりしよう。」
「はいはい。」
ナイトブレッド専用の飛行機に乗ってスウェーデンに行った。早い早い。寝てたらいつのまにかに着いていて、レイに起こされた。
「スウェーデンだ。綾、危なかったな。集会は1月15日だってな。それまでゆっくりしよう。」
綾はゆっくりできなかった。特訓しないと落ち着かない。特訓のために近くにあった公園に寄った。
レイにそんなにまで強くなりたいのか?男みたいだなと笑われた。
いつものトレーニングを済ませて公園のベンチに座っていると、小さいおとこのこが綾に近付いて話しかける。
でも、スウェーデン。綾には英語は少しは分かるが全部は分からない。
「Sorry」
「英語すら分からないの?」
「日本語しゃべれるんだ。すごいなあ、名前は?私は綾っていうんだ。」
「日本語しゃべれるのは当たり前だよ。日本人のハーフだもの。マイケルだよ。んじゃね」
「あ・・・。行っちゃった。」
マイケルは父母の元に駆け寄りはしゃいでいた。
綾はその光景をみて懐かしく思った。母さんが生きていたころ、父さんも。兄さんとよく遊んだっけな・・・。家族で遊園地などいったな。
「綾、何泣いてんだ?集会な、今日に決まった。行くぞ。」
綾は自分でも気付かずに泣いていた。
「やだ・・・泣いていたの・・・?集会今日に決まったの?行こう。」
豪華なホテルに着いたら、ガードマンが出迎えをしてくれた。
「綾さま。女王様になられるお身。私がお守りしても構いませぬか?」
「構いませんよ。」
地下深くの大ホールに案内された。大きなドア。
「お入り下さい。ステージに上がってスピーチをしてください。」
「はぁ・・・。」
ステージには、かっこいいおじさんがスピーチをしていた。
「時間は限られています。私、スティーブがスピーチをさせてもらいます。
今創造者やブレッドとの戦いが長く続いて240年になります。やっと我々を束ねてくださる女王様が現れました。私は大変嬉しいです。」
パリッと決まったスーツを着て、声をはりあげてスピーチをするおじさんが、私を指差して
「綾さまです!」
ワァーーー!
大歓声が響く。
「レイ!」
「スピーチのじかんだ。」
無理矢理おじさんに押されてステージのど真ん中につきでる。
ワァーーー!
また大歓声が響く。
「えーと、中村綾です。本名はアナだそうですが、綾と呼ばれてほしいです。女王になってきっと創造者を倒したいです。」
ワァーーー!
「静まれぃっ!」
ステージの目の前のテーブルからおじいさんが立ち上がった。まだ湯気がたちのぼっているマグカップをテーブルにおき、綾にこういった。
「女王になる・・・。当たり前の事ばかりで大事なことには一切触れられておらん。即位式は?いつ女王になるのだ?」
今までワァーーと言っていたみんながうんうんとうなずいた。
さっきのおじいさんが
「いつ女王になるのだ?」
綾は知らなかった。服を引っ張っている。レイが近くにいる。そしてささやいた。綾はそれを聞いてにんまりした。
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