夜の銃弾
夜の銃弾 D
五年後
「イヤーッ!」
綾は美少女に成長していた。今剣道の練習中で、レイ相手に互角に戦っている。五年前のあの日に誓った。絶対に女王になると。
そのためには努力を惜しまなかった。合気道、空手、柔道、防身術などを習ったし、レイに創造者とBの事などを詳しく教えて貰った。
「綾・・・成長したな。今なら恋愛対象になれるぞ。女王になる理由知りたいか?もう大人だから運命を話そう。」
「綾・・・お前は女王になる。私達創造者を食い止めるグループ「ナイトブレッド」に君臨する女王になる・・・。一年後にな。そして・・・おっと、これはまだまだ話しちゃいけないな。
これがお前の体の定めだ。それと、お前の名前は綾ではない。」
「え?ナイトブレッドの女王に・・・。分かったけど、綾じゃないなんて・・・!私の名前は何なの?」
「アナ。この話はおしまい。女王になったらシーラと名乗れ。」
「アナか・・・。オッケー。なるわ、女王にね。」
綾はこの五年間でレイに対する感情が変わった。師匠、命の恩人から好きな人に。だからさっき、恋愛対象になれると言われた時はすっごい嬉しかった。冗談でも、嬉しかった。
レイは気付いてない。私の気持ち。
「何にやけてるんだ?」
レイが剣道の道具を磨きながら言う。
「なんもないよ〜。」
「怪しいなあ。まあ、いいや。No.4と創造者もずいぶん会ってないなあ。いいことだ。」
レイが道具を片して綾と一緒に砂漠の道を歩く。夕方だから寒くなる。レイのテントが頼りになる。
すると、道の真ん中に缶が。あの赤い缶。
「あ、レイ!ジョンが来たのかな?」
「当たりだ。」
あの時みたいに影がむくむくと大きくなって人の形になっていく。
「ジョン!久しぶり!」
「綾!うわ。綺麗だなあ。サラサラのブロンドに染めたの?」
「うん。ありがと。」
レイがいかつい顔をして
「ベタベタ触るな。オレの弟子だ。で、用件は?」
「あ、そうそう。うん・・・後15分で創造者が来るよ。だから赤い缶の中に入ってこっちに来て!」
「何?!創造者がくるのか?サハラ砂漠の真ん中に?」
「早くして!」
ジョンが急かすように言う。
レイが仕方なく赤い缶に手を入れた。レイが小さくなって見えなくなる。綾も赤い缶に手を入れた。赤い缶の中は冷たくて、暗い。隣にレイがいる。そっと近づいている。
ジョンが
「入った?じゃ、2012年に移動します。振動があるんで注意下さい。」
床を振動が襲う。すっごい振動だ。気持ち悪くなってしまう。暗い缶の中が突然明るくなる。
「着いたよ。上にあるブルトップを開けてね。」
ブルトップを開けてみると、明るい世界があった。
しかし、信じたくない光景が綾を待ち受けていた。
血まみれの部屋に、創造者が待ち受けていた。たくさんの魔物を後ろに率いて。
「ジョンがだましたの?仲間じゃないの?」
綾が怒りながら言う。
「そうだよ。五年前のあの日会った時は仲間だったさ。でも、今は違う。私は創造者さまの部下だよ。低能な綾さまの部下はまっぴらだよ。」
創造者が一匹の魔物を放つ。髪の毛が顔にねばねばとまとりついている気持ち悪い魔物だ。
「行けよ、オライン。」
キーと高い声を出しながら綾の足にかぶりつく。
激痛が身体中を回る。レイが駆け寄る。リュックから薬と拳銃を出す。拳銃を創造者に向かって放つ。創造者はすました顔をして拳銃など気にしてないようだ。弾丸が創造者に近付いてきたとき
「オライン」
創造者が冷たい声で言う。
キー声を出しながら創造者に駆け寄って弾丸を身に受ける。オラインは死んだ。
創造者がオラインの死骸を蹴りながら
「開発したか。魔物を殺せる弾丸を。」
「リョッカ」
体中角だらけの魔物がこっちに向かってくる!
綾の顔に角が刺さる。レイが弾丸をリョッカに向ける。
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