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私は絶対あなたを愛さない
04 覆すことなどできない誓い

セミルは馬にまたがりシュリたちが乗る馬車を見ていた。
豪華に飾られた馬車。
ただ、そこにはレオナルセリト王国紋章が入ってる。
それを見た時の彼女は忘れ難い顔をしていた。

昨夜も彼女の身体を奪った。
それがどんな苦痛と疲労を与えることか知っていても。
止めることなどできなかった。

彼女をずっと求めていたのだから。

今日も彼女の身体に無理をさせ、今日中にレオナルセリト王国に帰ることにした。
王は城に残してきた王妃を心配し、急ぐことを簡単に許可した。
やはり、父も王妃こそが弱み。
それでも父のことを責められぬのはセミルにとってもシュリが弱みだから。

愛してるからこそ、彼女の顔は忘れ難い。
馬車の紋章を見た瞬間、瞳には激しい怒りが渦巻いていたのだった。
すぐにそれは無表情と一緒に覆い隠された。
王とセミルしか見てないと言っていいだろう。
彼女はレオナルセリト王国を滅ぼそうとしたりはしない。
聖エベレスト王国のために。

だから、レオナルセリト王国セミルたちが愛する国を愛したりはしないということ。
その瞳がそのことを物語っていた。
彼女の心は聖エベレスト王国だけに注がれている。
そのために、生きていると言っていると瞳が言っているのだから。

「セミル」
王がいつの間にかセミルの隣にいた。
そのことに驚きながらもそれは顔には出さず、にこりと社交界用の美しい笑みをつくった。
「聖エベレスト王国第3王女はそう簡単なものじゃないぞ。 ひたすら馬車の中で祈りを捧げているそうだ」
王はレイからの伝言を精霊に聞かされたことをセミルに話した。
シュリはひたすら祈りを捧げているということを。
「王女は聖エベレスト王国のものとは違い、屈しないようだな」
王はあの若さでなお、戦おうとする王女のことを頭の中に浮かべ、にやりと笑みを作った。
16歳の少女など、舞踏会や流行りものだけにしか興味がなく親のもとの人形かと思っていた。

誰もが心を奪われる容姿にすべての精霊に愛される少女。
国のために、すべてを奪われても心だけは渡さないと強い意志。

王はふっと脳裏に浮かんだ人物に対してにやりと口元にさらに笑みを浮かばせた。

「父上。 彼女はレオナルセリト王国を裏切ることなどできません。 あとは心を手に入れればいいだけのことです」
セミルはそれが簡単なことではないことを知りながらもそれはあえて、口に出さなかった。
簡単でなくても彼女の心を手に入れることが目的なのだから。

否、それがセミルにとっての願いだから。

シュリはレイが精霊を放ったことを感じながらも、祈りをささげていた。
すべての精霊に愛された私。
だから、行動もすべて見えてしまう。
レイが主にシュリの行動を伝えるのは当然のこと。
シュリが同じ立場でもそうしただろう。

レイに同情してもらおうとなんて思ってない。
同情してもらいたくもない。

ここに、レオナルセリト王国紋章が入ってるこの馬車の中にいることを望んだのは私なのだから。
国と国の和解のために人質としての妻として迎えられる私。
それを望んだのは私。
だから、後悔なんてない。

むしろ、聖エベレスト王国を守れるのだから喜んで望んだの。
それなのにどうして同情なんて必要だろうか?
私でいいならどうにでもすればいい。
国の見世物にすることも、王子の見せかけの妻でも、人質でも耐えられる。
聖エベレスト王国さえ守れれば。
私はどうなろうと構わない。

ピレキのようなことがあっても、私は自害することは許されない。
それなら、その人生。
どんな屈辱でも耐え抜いて見せよう。

このわが神ピレキの名に誓って。

私の心は愛する聖エベレストのもの。
それは永遠の誓い。


覆すことなどできない神の名に誓う誓い。

    それはシュリの決意。


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