[携帯モード] [URL送信]

私が愛した復讐の相手(ヒト)
06 見つけたわ。
コンコン
秘書がびっくりした顔で入ってきた。彼女が驚くのも無理もないだろう。
なぜなら、社長代理の駿介がワイングラスを持ったままソファで寝ていたのだから。
彼はいつも冷酷でしっかりしていてこんなこと1度もなかった。
だから、驚かずにはいられない。
「社長代理??起きてください。」
ワインの独特の香りがこちらまで飛んでくるのに秘書は整った顔をゆがめながら、換気扇を入れることにした。
「あぁ。悪い。」
駿介は最初から起きていたようだった。
「どうなさったんですか。社長代理がこんなこと1度もなかったのに。」
秘書はじっと駿介の顔を見る。ほんの一瞬の変化すら見逃すまいとして。
「惚れた女がいたんだよ。俺の行きつけの店に。捕まえたと思ったらまた逃げられた。」
駿介は皮肉な笑みを浮かべていた。
秘書は内心驚きでいっぱいだった。駿介とは幼馴染だったため親しいが、こんな駿介見たことがなかった。
いつも、ギャルやギャル男から様々な人の中心で自信満々だったのに。
「それが水川すみれさん??」
駿介が調べろと言って調べたが、ウィルスに邪魔されて調べることができなかった。
「ああ。写真は卒アルだけだ。」
駿介はそれを指さした。
秘書はため息をつきながらそれを開く。もちろん付箋が貼ってあるのだから。
「この子…。」
水川 すみれと書いてある子を見てみるとこれはまた驚きだった。
顔ははっきり言って整っているようで違う。
でも、この崩れようが絶妙に彼女を可愛く見せていた。
「私が直接調べてみるわ。」
恋に悩む弟のような駿介のために、まるで姉のような気持で駿介に微笑んでいた。


すみれはパソコンでひたすらウィルスを邪魔してきたところを調べていた。
かなり、実力のあるものだった。
(よかった…こないだウィルスを強化しなかったら見られてしまった…。)
すみれはひたすらパソコンや個人情報に侵入してきた主を探る。
それが終わった瞬間、溜息を思わずついていた。
『森株式会社』
からのパソコンだった。
もっと長々しい名前があるけどめんどくさいから省略ってことね。
すみれはパソコンを閉じるとぎゅっと目を閉じた。
「だから、金持ちは嫌いなのよ…。」
思い出すだけで悔し涙が出てくる。
弱肉強食、これほどこの世にあってる言葉はないと思う。
この四字熟語を作った人には本当にほめたたえる。
私たち家族は{弱}だったの。
だから、死んだのよ。
暗い話になっちゃった。私誰に説明してるのかわからないけど、まぁいっか。
駿介のような人には魅力を感じないわ。
だって、嫌いだもの。
「ヤバイ!!時間がない!!」
今日は大学に行ったあと、あの男について調べなくちゃ!!
すみれはマンションのカギをつかみ、出て行った。

「水川 すみれ。20歳。これだけしかデータがないってどんだけよ!!」
リムジンの中にいる駿介と秘書。
秘書の雪山 愛子はできる秘書の仮面をとり、一人のりつっこみしていた。
「これは俺だから知っていたことだ。すみれのことを一切知らないヤツが情報をつかもうとしても無理だ。」
駿介はひとり溜息をついていた。
「大丈夫よ!!私の知り合いにかわいい子をたくさん知ってる人がいるから。」
愛子は時計を見て、駿介のほうを見た。
「別行動しましょ。私、○宿側行くから、駿介は裏の人たちと探して。」
愛子はリムジンから出ると、駅に向かって歩いて行った。

「ほんとにごめん!!ほんとにごめんなさい!!」
すみれは電車を待ってる間、えりにひたすら謝っていた。
新聞の取材を今日受けるはずだったけど、あの男の情報が入りそうなのだから。
これを逃すわけにはいかない。
「ほんとにごめんなさい!!!」
すみれは本当に申し訳なさそうに電話を切った。

同時刻
「え!!」
えりが電話の中で通話している上に大きな声で驚いた声を出すため注目を集めていた。
(私、ああいう子大嫌い。)
愛子は運悪く彼女の隣に座っていた。
「すみれ!!私をほおっておくの!?」
えりの言葉に愛子は獲物を見つけたようにキラリと目に光が入った。
「大学についたら聞くからね!!」
えりは電話を切り、はぁとため息をついた。

すみれは大学の門の前で待っていた。
「えり!!ごめんなさい。」
えりが来ると何度も謝った。そして、明日同窓会のためのドレスを買いに行く時一緒に行くことを約束された。

愛子は大学の名前をメモし、すみれの後を追った。

授業が終わり、すみれはきれいな人とすれ違った。
モヤモヤと何か引っかかるが、すみれは時計を見てあわてて走り出した。

愛子はハイヒールでも優雅に早歩きですみれの後を追いながらケータイを出した。

「もしもし??駿介?」

愛子の赤い唇にはきれいに弧がかかれている。
その眼は獲物を狙う目だった。

「見つけたわ。水川 すみれさんを、ね。」



見つけてしまったから。

ランキングに参加しています。 リンクの一番下のWandering Networkにクリックしていただけるととても励みになります!!

[*前へ][次へ#]

6/7ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!