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私が愛した復讐の相手(ヒト)
03 とても無邪気な笑顔で。
主人公はほほ笑む。とても無邪気な笑顔で。恋をし、泣いて笑う素直な主人公。そんなあなたさえ利用する私はどうなのだろう。もちろん、情が移ったわけではない。ただ、私という存在はどうなるのだろうと考えているだけなの。
ねぇ、教えて。私って何??

すみれはひたすらパソコンに話を打ち込む。あの男のことを調べないといけない時がきた。高校ではなかなかいいことがなかった。大学になったら自分で調べられる。孤児院には悪いことになるが私にそれを考えるほど心に余裕なんてない。
「すみれ!!」
いつの間にかえりが眼の前にいた。集中しすぎてえりが近づいていることに気が付くことができなかった。
「すみれ!!これがすみれ宛てに届いたよ。」
えりははい、と封筒を渡された。この封筒の色を知っている。これは高校の時学校がかなり大事にしていた水色。高校から何の用だろう思いながら、えりにありがとう、と言い受け取った。
「気になるのはやまやまなんだけど…。私、新聞のことでイロイロあるから戻るね!」
えりはにっこり笑い、手を振って走って行った。すみれはその封筒をそっと破り、中の手紙を取り出した。
『高校同窓会のお知らせ。』
すみれはふっとほほ笑んだ。だけど、眼が笑っていない。だって、これを待っていたのだから。これこそあの男の手がかりのチャンスだから。
「約一週間後…。」
すみれはそれをバッグの中にしまい、パソコンもしまった。今から調べなくちゃいけないことだらけ。
だから、街へと向かう。
すみれは歩きだした。

同時刻
「社長代理。高校から同窓会のお知らせが届きました。」
社長代理と言われた男、それは森 駿介だった。駿介はにやりと笑いそれを受け取った。彼もこの機会を逃すわけにはいかなかった。高校の時彼女の心を手に入れるはずだったのに、彼女は指の隙間を通り抜けるようにさった。どんなにひどいことをしても彼女は笑った。俺にさえ、微笑むかけてきた。最初はそれが好意の証拠かと思ったがそれは違った。今、思いだすと鳥肌が立つ。彼女の笑顔は強くも壊れてしまいそうだった。なぜ、彼女が弱ってるときのチャンスを逃してしまったんだろう。今でも彼女を思い続けてる。いろんな女と付き合った。だけど、どれも遊びにしかならなく、心は冷めたままだった。あのときしか心が燃えてなかった。
「すみれ。俺はお前を手に入れてみせる。」
ふっと不敵な笑みのままコートをとり、ドアを開けた。

すみれは夕方の街を歩いていた。ちらちらと柄の悪い人やギャル男やギャルさんがこっちを見てくる。大学生になればわかる。自分の容姿が少し目立つことを。だから、森 駿介にも目を付けられた。いつも、目立つことが大嫌いだったけど今ならそれに感謝するしかない。
すみれは森のことはとっくに調べた後だった。カフェにいればギャル男たちがだいたい隣に座ってくる。その話をそっと聞いていればいい。女だと思って安心している。森も蔭では悪いことをしているけど立派な家にいる。だから、警察も証拠がなく手が出せない。否、出そうとしない。薄暗いお店のドアを開けるとそこは本当にうるさい音楽がかかっていて男女が踊ってる。
「ねぇ。一緒に踊らない??」
ギャル男たちがすみれに怪しい笑みで近づいてくるけどすみれはにっこり笑った。
「森 駿介に会いにきたの。」
それを言った瞬間まわりの目つきがかわった。私が誰なのかそれを探るように。
「けんかはこの店ではやめてくれ。」
店長らしき若いギャル男が出てきた。さっきナンパしてきたギャル男たちはそれでもすみれから眼を放さない。すみれは笑顔を消さずに店長を見た。
「いるでしょ??すみれが来たって言えば来ると思うわよ。」
あたりはさらににらみをきかせてくる。それでも、すみれは笑顔を絶やさなかった。
「駿介さん!!だめですよ!!あの女、危ないかもしれじゃないですか!?」
まわりが一気にザめき、道を開けた。さっきの声は取り巻きの声だろう。すみれは堂々と駿介を見上げた。
「久し振りだな。すみれ。」
駿介は不敵に笑った。だけど、駿介の目は獲物を狙う眼付だった。
「本当。さっさと用事すませちゃうわ。ここに待ち合わせの彼がいるの。それまで待ってていい??」
すみれはあえてそれに気がついていないふりをした。駿介は社会に出て、大企業の社長代理なんてやっているのだからすみれのことをすべてお見通しかもしれない。でも、私だってこの年月を無駄に過ごしたわけじゃない。
「それをなんで俺に聞く??」
駿介ははっきり言っていらついた。さっきの言葉で。俺以外に彼氏??ふざけるな。そうどなりたかったがそれではすみれは帰ろうとするだろう。そうするわけにはいかなかった。それに、この店にいるためには俺の許可がどうしても必要なのだから。
「あなたの許可が必要だって聞いたから。それを取りにきたの。」
すみれはじっと駿介を見た。見つめるのではなく見た。駿介はふっと笑い、すみれの肩を引き寄せた。
「!!」
すみれはいきなりの行動にふらつきながらも、驚いて離れた。
「私は許可をもらいにきたの。あなたと一緒にいるなんて一言も言ってない。」
すみれはキッと睨みつけた。まわりの空気が一気にかわる。取り巻きたちもすみれをにらみ殺そうとしているほどにらんできた。
「すみれ。久しぶりに思い出話でもしようぜ??」
駿介は今度は強い力ですみれを引き寄せ唇を奪った。この熱を呼び起こせるのは彼女しかいない、そう思いながら。

だって、彼女が欲しくてたまらないのだから

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