私が愛した復讐の相手(ヒト) 私が愛した復讐の相手(ヒト) プロローグ 雨が降る。 これはまるで私の気持ちを表しているようだ。 雨のおかげで私の涙は見えない。 ううん。流れてないのに。だって、悲しくなんてないもの。泣いちゃいけないんだもん。これは私が決めたことだから。 桜川児童養護施設 そう書かれたところの入り口で私は座り込んだ。もちろん、ここがどこだかは知ってる。 それも小さな子供が大雨のなかここで座っていたら意味は誰だってわかるはず。 「どこから来たの?」 大人が来て私を施設の中へ入れた。タオルをやさしく渡してくれる。 「…すみれ。」 私は小さな声で答えた。声がかなり震えてしまったが目尻まであがってきてる涙を今はこらえるので精一杯だった。 「上の名前は?」 大人は心配そうにこちらに聞いてくる。すみれ、それが私の名前。 「…水川。私は…水川すみれ…。」 このときから私の戦いは始まる。 それは私が有川という性から水川と名前を偽ったことから。 このとき、有川(水川)すみれは6歳だった。 もう泣かないから ランキングに参加しています。 リンクの一番下のWandering Networkにクリックしていただけるととても励みになります!! [戻る] |