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私が愛した復讐の相手(ヒト)
02 えりの気持ち
すみれは朝、目を温めていた。
昨日泣きながら寝たため、やっぱり腫れていた。
だけど、この腫れがあるからこそ私はやらないといけないことを思い出させてくれる。
甘えちゃいけないということを教えてくれる。

昨夜はやっぱり悪夢だった。
黒い影に追いかけられる。
それは小さな私。
あのときから、私の心は止まっているのだろう。

私ならできる。

「えり…」
えりからの着信がとうとう100件を超えた。
もちろん、すべて出ていない。

すみれはもう大学に自主退学をした。
パソコンで本も書き終えた。
あとは、裏の力であの男の獲物として目をつけられるだけ。
そしたら、殺してあげる。

すみれはパソコンを持って、出版社へ向かうのだった。

すみれと出版担当者はひそかに裏取引をしてある。
出版担当者もあの男たちを恨んでいる男だった。

「すばらしいですね!! 上のほうには私から言っておきます」
出版担当者とのアイコンタクトを取り、すみれは出版社から出て行った。


「すみれ!!」
えりの声が聞こえたかと思うとそのあと左ほおに大きな痛みがはしった。
そのあと気がついたのはえりにビンタされたからだった。
「えり…」
すみれはえりの目から涙がこぼれているのに気がついた。
自分の頬の痛みより彼女の心の痛みが今のすみれには感じとれすぎて苦しかった。
心を捨てはずなのに。

「すみれのバカ!! どうして、大学辞めちゃうの!?」
えりは苦しかった。

かわいくてみんなに注目されて、愛されるはずのすみれはいつもひとりだった。
初めて話しかけたとき、冷たくあしらわれたけど彼女は実はとっても優しかった。
愛されていい彼女は自ら嫌われるような行動を取っているような気がしていたたまれなかった。

まるで、自分を傷つけるように。

私が思いっきり微笑みかけると、彼女は微笑み返してくれたけどとても悲しそうだった。
どうしてそんな風に笑うの?
苦しいなら、話を聞くよ。

だから、独りでそんな風に笑わないで。

「私はずっとすみれを見てきたよ!! 何かあるって分かってたよ!! 私がほほ笑むととっても悲しそうなすみれを!!」
えりはまわりの人がこちらに視線を送ってくるのも気にせず、すみれをじっと見た。
すみれの顔は今までにないくらい動揺していた。

「すみれは明るい道へ行こうとしてる? すみれの選ぼうとしている道はとっても暗いところじゃない?」
えりはすみれをギュッと抱きしめた。
こんな細くて、小さい。
彼女のこの身体にいったい何を背負っているかは分からない。
ただ、それがいいことではないことだけは分かる。

「まだ、大丈夫。 引き返せるよ!! 顔をあげてみなよ!!」
えりの言葉にすみれの身体は小さく震えた。
だけど、すみれは首を横に振ってえりの身体をそっと放した。

「えり。 私にはこの道しか残されてないの」
にっこりほほ笑んだ。
とても悲しい笑顔を。

「えり。 ありがとう。 これで会うのを最後にしよ」
すみれはこぼれそうになる涙をこらえた。
ここで泣いたら、えりとわかれることができない。
彼女は幸せになれる。
私はなっちゃいけない。

えりは何か言おうとしたけど、その前の私は走り出していた。
じゃないとこの涙をえりに見られてしまうから。


「すみれ…」
えりはこぼれる涙を拭きながらすみれの背中を見ていた。
見ることしかできなかった…


すみれはマンションに戻り、便せんを出した。
宛先を書いたあと、引出しにしまう。

私の誕生日まであと2日。
すみれは22歳になるよ。

もうあっという間だった、なんて言葉私にはない。
生きているときが1番つらい。
あの男と同じ空気を吸っているのかと思うと気分が悪くなる。

私はもうすぐ22歳になる。

私が作る舞踏会まであと2日…
           すべては2日後…
すみれは愛されていいんだよ…



今日(3月24日)じゃんじゃん更新します!!
近日、この小説は完結します!!だけど、まだまだ番外編をつくるので見てくださいね!!
あと、私は絶対にあなたを愛さない、と君の血に乾杯、(連載しました)見てください!!

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