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私が愛した復讐の相手(ヒト)
01 心
駿介は知り合いの探偵にやっとすみれのことを調べてもらえることになった。
彼はとても信用できる男のためしっかり秘密は守ってくれる。
パソコンの情報がムリなら直接調べるまで、なのだから。

探偵がなぜすみれのことを調べることに拒否を示すのかが、つかめない。
ただ、彼女のことは調べないほうがいいという暗黙のルールがあるらしい。
彼女は何もかもと通じてる。
それが探偵が答えた精一杯の答えだった。
駿介はそれを歯がゆく思いながらも、すみれのことを調べてもらうことに感謝した。
彼になにかあったときは必ず駆けつけるということを約束して。


すみれは最近妙なことが気になっていた。
長年死と紙一重だったためか、すみれは怪しい気配を読み取ることができる。
怪しいと言ってもだれでも読み取れるのだが、こっちの様子を事細かに探るような気配を感じるのだった。

探偵?命知らず、としか言いようがないわね。

すみれはふふっと笑い、探偵のほうをあえて気が付いていないフリをして公園へ歩き出した。

公演は小さな子供たちでにぎわってるが、相変わらずベンチはあいているので、そこですみれはパソコンを開いた。
その探偵のことを調べるにはハッカーという職業がなんて役にたつのだろう。
「さてと、やっぱりあいつか…」
すみれは想像通り出てきた名前にため息をついていた。

もちろん、駿介だった。

おもしろい。私のことを調べるなんて。
それなら、私もあなたが嫌なことをしてあげる。

すみれは立ち上がり、隼人がよくいるというところへ向かった。

前に聞いた隼人が持つ、会社のロビー。
すみれはそこへ行くことにしたのだった。

ハイヒールの音がロビーをしめていたが、すみれが隼人の姿を見つけて歩いてくるとまわりの警備員たちが近づいてきた。
「彼女はいい」
そんな警備員を止めたのはくったくもない笑顔で微笑む隼人だった。

「ごめんなさい。いきなりこんなとこに来てしまって」
すみれはロビーのイスに座らせてもらいながら隼人へ謝った。
「いえ、いいんですよ。すみれさんは今日大学のほうは?」
隼人はコーヒーをすすりながら、すみれへにこやかに答えていた。
「お休みです☆ 今回、小説のコンクールに応募しようと思ってるんです。だから、落ち着ける場所がほしくて…」
すみれは内心はっとしていた。
こんなこと言うつもりなかったのに。
「そうなんですか!? 小説家デビューですか??」
隼人は少し驚いたように目を開いていた。
そのことに対してすみれは驚きながらも照れ笑いをしていた。
「まだです。大賞をとってからじゃないと…」
そこで2人は微笑みあっていた。


駿介は送られてきた報告書を破り捨てるように壁へ叩きつけた。
その音を聞いて愛子は驚いて入ってくる。
「!!」
愛子も駿介が取り乱している理由が分かった。
報告書にはすみれと隼人が仲良く微笑みあっていたのだから。

「今すぐ、すみれを探しだせ!! 周囲にばれないようにこの家に連れて来い!!」
駿介が愛子に行った言葉は許しがたかった。
「駿介!! 彼女に愛されたいならまず抱きしめてあげなさいと言ったはずよ!! 無理やり部屋に閉じ込めておけなんて言ってないわ!!」
愛子は気がついたら怒鳴っていたが、駿介の耳には届かなかった。

「今すぐ、すみれを探しだせ!! 俺のもとへと連れて来い!!」


すみれは周囲に迫りくる気配を薄々感じていた。
かなり実力のあるものばかりだった。これだけ気配を消せているのだから。

家がばれるわけにはいかない。

「何か用?」
すみれは立ち止まり周りを見渡した。
すると、ぞろぞろと男たちが出てくる。みんなスーツを着ていた。
「ふーん。駿介の犬たち、ってところかしら?」
すみれの挑発的な笑みにまわりは殺気をたたせたがリーダーらしき男はすみれに威圧のある声で言う。
「おとなしくしていれば手荒なことはしない。今すぐ、森家へ来てもらおう」
次の時点ですみれは口をふさがれ、車の中へ連れ込まれていた。



彼女は俺の理性を狂わせる

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あきゅろす。
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