ワシが守る チャポン。チャポン。 湖のほとりにしゃがみ、湖に小石を投げ入れる。その度に水面が小さな音を奏でる。 なんだか心がモヤモヤしてる。 きっと姉様が原因だ。姉様が人の生肝しか食べないなんて言うから。 「姉様は……ずるいです」 膝を抱え、地面に視線を落とした時でした。 ポチャン。 私は小石を投げていないのに、水面に小石が落ちる音がする。 そして頭上から聞こえてきたのは、紛れもないあの人の声。 「姉様がなんだって?」 ぬらりひょんさんでした。 私の隣にスッとしゃがむともう一度湖に小石を投げ入れます。 笑わなきゃ。人の前では笑わなきゃ。 私はふとそう思いました。 「姉様がもう人の生肝しか食べない、と言うんですよ」 「ほう」 「それで力が手に入れられるらしいです」 「大半の妖はそう言うな。本当かどうかはわからんが」 会話はそこで途絶えた。 寂し気な笑顔を浮かべたまま、佳純は再び目線を湖へ戻した。 ぬらりひょんは何かを考えているように押し黙っている。 「さて、私は家に帰るとします。お話聞いてくれてありがとう。少し楽になりました」 佳純はその沈黙の間に泣き出しそうになってしまったので、立ち上がるとまた微笑みそう言った。 続いてぬらりひょんも立ち上がる。 → [*前へ][次へ#] |