僕らのお姫様
02
「ルビ、大丈夫かい?」
マーモンがその隙に、ルビを救出してナイフを渡した。
全部計画通りに進んでいる、陽動作戦成功。
「うんっ、平気平気」
砂埃を叩き落として立ち上がるルビを見て少し安心した。
「さて、反撃するよーっ」
「お仕置きしてあげましょ」
「僕が地獄を見せてあげるよ、見物料は当然貰うけどね」
「う゛ぉ゛ぉおい、覚悟しろぉお! 」
刀を構えて、あの中年男に突き付けると謝罪交じりの悲鳴が上がった。
* * *
「ったく、知らねぇヤツには着いていくなって何時も言ってんだろぉが」
「着いてってないしー、後ろから捕まえられたんだしー」
埃だらけの頭を叩いてやりながら、ルビを叱る。
顔にも、擦り傷を作りやがって……ガキの喧嘩の後みたいな顔になってんぞぉ。
ベルが帰ってきたら、説明どうしようか。
「後ろからだと? ……ハッ、まだまだだなぁ。」
「なっ、ベーッだ! ナイフ持ってたらこんな奴らになんて負けなかったっ」
怒ったルビが、ガツンと側に倒れている中年男を蹴っ飛ばした。うぅっと、情けない声を出すが……まだ気絶中のようだ。
すっかり伸びてやがる。
「ちょっと、スクちゃん。ルビちゃんは女の子よー? 後ろから男の人に捕まえられたら、いくらなんでも振り切れないわよ」
「ルッスーリアの言うことにも一利あるね」
「っ……悪かったな、ほら、帰るぞぉ」
取り敢えず、こんな所にずっと居る訳にもいかねぇし、スネ気味のお姫様に手を差し出すと、ルビは意外に素直に手を握りかえした。
「ねぇ、スク隊長」
「なんだぁ?」
「その……ありがと」
それは、消えそうな小さな声だったが、しっかりと耳に届いた。
何時もより素直なルビがいじらしく見えて、ふと表情が和らぐ。
……何だかんだ言ったって、こいつも少しは怖かったに違いない。
「まっ、無事で何よりだぁ」
握った手に、軽く力を入れた。
無事救出完了
(スクちゃんも、心配したって素直に言ってあげたら良いのに……)(何処かあの2人って、性格似てるよね)
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