月の世界と呪符使い その3 「さて、それでは飛ば――」 「待てぃ!」 「む?何か問題でも?」 「型月世界、という点は我慢しよう。だがしかし……駄菓子菓子!何の能力も無いんじゃあ直ぐに死ぬことになるだろうが!せめて能力を与えてから飛ばしやがれってんだ!」 神様はふむ、と少し考え込むとこう答えた。 「それじゃあ、こう言う能力はどうだ?洋司が生前にハマっていたカードゲームがあるだろう?」 「……確かに遊戯王OCGにハマったけど、それがどうしたんだ」 そう、俺は確かに遊戯王にハマっていた。 それも稼いだバイト代を全額費やすレベルで。 「その力を具現化させる能力を与えようじゃないか」 「――マジですか?」 「本気、もしくは真剣と書いてマジだ――どうした?いきなり黙り込んで」 「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 俺は歓喜した。 そりゃそうだ。 あの遊戯王のモンスターやら魔法やらが具現化するんだから、遊戯王ファンとしては夢のような話だ。 「さすが神様!俺たちにできねぇことを平然とやってのけるぜ!そこにシビれるアコガれるゥ!」 「いや、それほどでもないぞ」 「さて、そうと決まれば早く飛ばして下さい!」 「よーし、それではいくぞ?」 何処と無くご機嫌な口調でそう言うと、ぶつぶつと呪文らしきものを唱えだした。 「ゴニョゴニョ――古今東西!」 「ちょ、最後おかし――」 呪文の最後に突っ込んだはいいが、中途半端なところで意識を失う俺であった。 [*前へ] [戻る] |