月の世界と呪符使い
その2
彼はとてつもなく混乱していた。
それもその筈。
死んだと思えば妙な空間に居て、更にそこに現れた人が自分のことを「神様だ」等とのたまったのだから。
(いやいやいや……神様はねぇだろ神様は……いや、でもこんな所にいるってことは神様なのか……?待て待て……常識的に考えて神様なわけないだろ……いやでもなぁ……)
「どうかしたかな?」
自称神様が話しかけて来た。
激しく関わりたく無かったが、この変人しか人が居ないのだからしょうがないと割りきって話すことにした。
「あー、いえ、何もないですよ?」
「そうか?それなら良いのだが……ところで、君の名前は?」
「あ、花村洋司(ハナムラ ヨウジ)です」
「ふむ、洋司と呼ぶことにしよう。」
とりあえず自己紹介を終わらせると、自称神様が今までと違い真剣な表情をして話を始めた。
「まず一つ言っておくと、君の肉体は既に火葬されて残っていない。つまり、君はこちらの世界に生き返ることは出来ないのだ」
「生き……返る?ちょっと待って下さい……普通に考えて生き返るなんて無理でしょ?」
「神に出来ないことはほとんど無い!」
「なら生き返して下さいよ」
「無理だ。何故なら私は歴史の改竄というものが出来ないからだ」
彼は説明を続ける。
長いので要約するとこうだ。
神に出来ることは命の創造であり、運命と歴史の改竄は出来ないこと。
改竄が出来るのは現世で生きる者のみだということ。
「はぁ、つまり、俺が死んだことは無しには出来ないから生き返せない、と」
「飲み込みが早くて助かる」
「それじゃあ生き返らせることが出来る、というのはどういうことですか?」
「正しくは別世界に転生させることが出来る、ということだな。まぁ、洋司と同一存在である魂が無い世界にしか無理だがな。ちなみに、行ける世界は――――――――という世界だ」
その世界のことを聞いて思考が停止する。
何故なら――
「死亡フラグ満載ぢゃねーか!」
Type-Moonの世界だったのだから。
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