第14話:ファーリス王子
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まあ、サマディー王へと勇者として告げてまたぞろデルカダールの二の舞とか困るし、勇者云々に関しては告げない方が良かろう。
「ワシは少し忙しいのだ。謁見は手短かに頼む」
「は、はぁ……」
そういえば謁見の間に来るなり、ユートの滑稽? な姿に唖然となって口を出したみたいだが、国王は何やら行ったり来たりしていてぶつぶつ言ってた。
「父上! このファーリス……ただいま訓練より戻りました!」
振り返るとイケメンが、名乗った通りこの国の王子たるファーリスだろう。
(五分五分だった訳だが、母親の方が優勢遺伝したって訳か)
明らかに父親の血は皆無と云える容姿。
「騎士たる者!」
「信念を決して曲げず国に忠節を尽くす! 弱きを助けて強きを挫く! どんな逆境にあっても正々堂々と立ち向かう!」
サマディー王からの問い掛けに、金髪青目なイケメン君が左手を胸元に持って行き応えた。
「うむ、宜しい。ファーリスは今日も騎士道精神を忘れていない様だな」
満足したらしく玉座へと戻るサマディー王。
(騎士道大原則ひとーつ、みたいな感じか?)
覇王体系リューナイトの主人公、アデュー・ウォルサムの口癖である。
(或いは――『くああっ! 答えよドモン!』『流派東方不敗は!』『王者の風よ!』『全新!』『系列!』『天破侠乱!』『見よ! 東方は赤く燃えている!ぅぅぅっっ!』みたいな)
機動武闘伝Gガンダムに登場する主人公のドモン・カッシュと、その師匠たる東方不敗のやり取りだ。
外連味タップリなだけに面白いやり取りだった。
「我が息子ファーリスよ、お前も今年で一六歳だな。ファーリス杯では騎士の国の王子として、その名に恥じぬ勇敢な走りを期待しておるぞ」
「お任せ下さい父上。必ずや期待に応えてみせます。それではこれにて……」
踵を返して退出しようと歩くファーリス王子は……
「あ、貴方は」
ユートに目を付けた。
頭の上から爪先まで見つめると口を開く。
「失礼ですが旅の方、貴方の御名前は?」
「ユート」
サマディー王の瞳が揺れた処を見るに、やはり彼にとっても勇者の名前というのは忘れられないか?
「ふむ、ユートさんですか……何用で我がサマディーに訪れたのでしょう?」
「この国に大樹の枝が有ると聞いてね」
「大樹の枝? それは若しやするとサマディーの国宝……七色に輝く虹色の枝の事でしょうか?」
「そうだね、確かに見たって人からは虹色に輝いていたと言っていた」
「成程、それなら僕がお役に立てるかも知れません。後で僕の部屋に来て頂けませんか?」
「部屋に?」
「はい、場所はメイドでも派遣しておきますので」
「まあ、良いけど」
「御待ちしています」
そう言い残しファーリスは再び歩き出す。
ユートはファーリス王子を見送った後、ベロニカの方を見遣ると彼女が頷くのを確認してサマディー王へ向き直る。
「陛下、何やら王子殿下が僕に御用命らしいので御前を失礼致します」
「うむ、ワシも余り時間を取れぬからな。ファーリスの方に行ってやってくれ」
「それでは」
一礼すると、ユート一行も謁見の間を辞した。
「行くのよね?」
「勿論。折角、向こうから御誘い下さったんだぞ? 機会を棒に振るものかよ」
普通だと、平民では木っ端貴族すら会うのに難儀をするものだが、ドラクエは王に謁見するのも軽め。
まあ、ゲームでいちいち儀礼的にやっていたら日が暮れるから仕方がないが、それはこの現実でも適応がされていた。
だからサマディー王ともあっさり会えた訳であり、それはとても有り難い話ではあるけど、流石に私用で王族に会うのは難しい。
『エデンの戦士達』的な世界だと、キーファ・グランと友人な主人公のお陰で割と私用でも会えた上に、上手い事してリーサ・グランと仲を深められた。
お陰様でキーファが居なくなった後、それこそ上手く口を使って兄をある意味で喪って哀しむリーサの心を鷲掴みに出来た程。
だから、ファーリス王子と私用で会える機会を見逃したりはしない。
「あの……」
メイド服姿の少女が話し掛けてきた。
ゲームだとグラフィック的にモブな使い回しだったのだろうが、現実で双子や三つ子じゃあるまいし同じ顔なんて有り得ず、メイドも中々に可愛らしい容貌をしている。
わざわざ冒険者として来ているユートに話し掛けてきたからには、彼女こそがファーリスの命令で迎えに来たメイドなのだろう。
「殿下からの使い?」
「はい。皆様をファーリス様の御部屋にご案内を」
「そっか、宜しく」
ユート達は一礼して歩き出すメイドの後を着いて、ファーリスの部屋へと向かうのであった。
ファーリスの部屋。
王子様――しかも恐らく王太子である人物の部屋としては華美になり過ぎず、趣味の悪い成金みたいでなくてホッと胸を撫で下ろしたユート。
王族とはいえ趣味は色々だし、偶に居るのだ凄まじい成金趣味なのが。
例えば帝政ゲルマニアの皇帝閣下辺り。
とはいえ、彼は未だしもマシな類いではある。
「おお、よく来てくれた。わざわざ呼び出したりして悪かったね」
嬉しそうなファーリス。
「リノ、御苦労だったね。待機しておいてくれ」
「はい、殿下」
部屋まで案内をしてくれたメイド――リノは普通に入口の辺りで待機するが、名前を覚えられていて割と気安い話し方から、それなりに近い仲であるのが窺えた訳だが、年齢がユートやファーリスに近い事から、恐らくはファーリス御付きのメイドといった感じか。
まさか御手付きのメイドではあるまい。
多分……
とはいえ、亜麻色で長めな後ろ髪を三つ編みにしたメイドは、胸もそれなりに大きくて青い瞳は綺麗だし砂漠の日照りに会わない様な白い肌、はっきり言って美少女だからファーリスの立場に在れば、ユートなら喰っちゃったであろう。
勿論、喰い散らかす心算なぞ無いからある程度は幸せに暮らせる様に計らい、今後にも気を使った筈だ。
それは兎も角、ユートをジロジロと見るファーリスはうんうんと頷いた。
「やはり思った通りだよ。少しばかり背丈が高いにしても、体格的にはピッタリではあるし、馬の扱いに長けていそうな顔だ」
(どんな顔だよ、それは)
ツッコミたいのを我慢して話の先を促すと、躊躇いがちにファーリスが言う。
「君達は虹色の枝を求めて我が国に来たんだっけ? 残念ながらあれは国宝で、旅人へ簡単に上げられる物では無いんだよ。だけど、僕が父上に掛け合えば或いは譲って貰えるかも」
「成程……王子は何やら頼みたい事があるみたいだ。それで? 僕を視ていた様だけど何をさせたい?」
「話が早くて助かるよ」
因みに、ユートの識らない原典――【ドラゴンクエストXI〜過ぎ去りし時を求めて〜】に於ける主人公の背丈は、実際にファーリスと似たり寄ったりのものでユートみたいに高くない。
ユートの身長は同じ年頃の男としては、少しばかり高めであったからだろう、ファーリスもちょっと羨んでいるみたいだ。
まあ、流石に頭一つ分も高くはないのだけれども、少なくとも半分くらい差があると云う。
「とは言うものの、此処では誰が話を聞いているか判らない事だし、現在の城下町に来ているサーカス一座のショーを観ながら話をするってのはどうだい?」
「! サーカスを観られるのか?」
「お、食い付きが良いね。若しかして観たかった口なのかい?」
「チケットが手に入らなくて観れなかったけどな」
「ならば丁度良かったね。決まりだ、それじゃあ夜に城下町にあるサーカステントの前まで来てくれ。時間に遅れない様に頼むよ」
「オッケーオッケー!」
サムズアップで答える。
前世から今生までユートはサーカスに縁も無くて、せめて一度くらいは観たいと思っていた処。
似た様なのは観た事くらいあるが、やはり本格的なのは初めてとなる。
「そういえば、あのメイドの娘って?」
「ん? 何だ、若しかして気に入ったのかな?」
「ああ、可愛かったのは認めるけど……訊きたいのは殿下との関係」
「乳母の娘だよ。謂わば、幼馴染みってやつかな?」
「ほう、幼馴染み……ね」
それはエマを思い出させてくれる単語であった。
「気に入ったのならコナを掛ければ良いけど、仮にも乳母の娘だから不幸にはしないでくれよ?」
「了解した」
まあ、サーカスを楽しみにしているから今は良い。
こうして、望外の幸運に恵まれてユートはホクホク顔で城を出た。
意外と子供っぽかったからか、カミュは肩を竦めるしかなかったとか。
セーニャはそこが可愛いと感じたらしく、にこやかにユートを抱き締める。
「セ、セーニャ?」
ユートもこれには面食らってしまい、振り向かんと顔を動かそうとするけど、がっちりと抱き締められては首だけを動かす事も出来ないし、まさかセーニャをぶっ飛ばす訳にもいかないからされるが侭。
とはいってもセーニャの温もりが背中に心地好く、振り切るにはちょいと惜しいとも考えていた。
貧乳だからか押し当てられた胸は柔らかさに欠けてはいるが、全体的な温かさは充分に感じられる。
宿屋で休むユート達……なのだが、何故か女の子の二人がユートとカミュの泊まる部屋に来ていた。
「何で二人が?」
首を傾げるカミュ。
「暑いのよ!」
「外はまだ風の流れで涼しいのですが、部屋の中ともなりますと蒸しますから」
ベロニカもセーニャも、暑いから避難したらしい。
「ユート、やっぱり涼しくなる魔導具なんて持っていた訳ね?」
「まあね」
ユートがハルケギニアで製作した道具の冷房機……風石と水石の秘めた精霊力を混ぜて氷の力に変換し、その冷気を放射して室内を涼しくする物だ。
現代人感覚な人間が快適に過ごす為に、ユートが造り上げた文明の利器。
アトリエな世界でも結構な数が売れたものだ。
シアを手に入れるべく、切札(ジョーカー)となった道具でもある。
「まあ、夜に備えて寝ておこうか」
「アンタ、ホントに楽しみにしてるのね」
どれだけサーカスが観たいのか? ベロニカが呆れるくらいに嬉しそうだったと云う。
夜の帳が降りた頃。
一行はサーカステントに向けて出発した。
「やあ、よく来てくれた。取り敢えず中に入ろう」
ファーリスは既に入口で待っており、ユート達が来た事に胸を撫で下ろす。
余程の事らしい。
テント内は観客で埋まっており、一部のテーブル席に案内されて席に着く。
「果実水を人数分」
「はい」
喉を潤す為の果実水を頼んだファーリスも座って、暫しの間はサーカスを観る事に集中した。
幾つものカラフルな玉を片手でお手玉とか、観れる芸はユートも愉しめる。
そうしてプログラムを済ませていくサーカスだが、団長らしき初老の男が出てきて声を張り上げた。
「さて、御次は世界を飛び回っては訪れし町の人々を魅了し去っていくという、謎の旅芸人の登場だぁ! 流浪の旅芸人シルビア! 摩訶不思議なショーを篤と御覧あれ!」
座長が言った途端に飛び上がり、前に一回転をしながら現れたのは黒髪の青年……? だった。
ババッ! と取り出した派手なナイフが一気に数本に増え、各々が両手に札の様に広げられる。
それを上空に放り投げ、お手玉の如く投げては取りを繰り返し、更に口から火を噴きナイフに火を着けた……のは良いが?
「キャァァッ! 間違えて全部を燃しちゃったわ! 誰か助けてぇぇぇっ!?」
おねぇ言葉で助けを求め始める。
まあ、ユートもこいつが流石に芸の一部である事は理解していたし、面白そうに見物をしていた。
思わず放り投げた体で宙に飛び、観客席にまで至るナイフだったがニヤリと笑うシルビアの茨の鞭が次々とナイフを薔薇に換えた。
それは観客のテーブルに置かれた瓶へと収まって、一輪の薔薇を手にして前列の女性に贈る。
そして右手を胸元に一礼をしたシルビアは……
「大切な御客様に怪我などさせません。愉しんで頂けましたでしょうか?」
そうアピールした。
両手を広げるシルビアに歓声が飛ぶ。
「よし、みんなサーカスに夢中な様だな。ではそろそろ本題に入ろうか。これから言う事は決して口外したししないで欲しい」
未だに続くシルビアの芸だが、流石にユート達が観入る訳にもいなかい。
「今度、騎士達が乗馬の腕を競うファーリス杯が行われるんだが、実は僕も出場をするんだけど問題が一つあってね。その……僕は生まれてからこのかた馬に乗って走った事が無いんだ」
「――は?」
ユートは思わず間抜けた声を上げ、ベロニカ達など呆けた表情となる。
「これまでは直属の部下達の協力もあったから父上や国民を欺けたが、レースに出ればいよいよボロを出してしまうだろう!」
最早、頭を抱えるしかないファーリス。
「成程、理解した。まさか一六歳という成人年齢に達した祝いのレースだけに、出場を取り止めも出来ないから困っていたのが、僕という多少の背丈は違っても体格が似た存在を見付け、影武者をしてくれ……と? そういう訳だね?」
「正解だ!」
ガックシと項垂れながら言うファーリス。
「待て待て、影武者っつってもレースに出りゃ一目でバレるだろうに。どうやって誤魔化す気だよ?」
「フッ、そこは心配無い。王族だからね、身の安全を優先させる為に鎧兜を装備して出場するんだ。だから絶対にバレやしないさ」
果たして清々しいまでに言うのはどうだろうか?
何しろ事は不正絡みで、この国の王子自らがそれに手を染めると云う話とは、サマディー王国の未来は暗そうな気がした。
「そんな訳で頼む、この僕の一生のお願いだ! 代わりにファーリス杯に出てくれないか!?」
身を乗り出すファーリスの剣幕、だけどベロニカがスビシット指差して怒る。
「何よそれ、そをなのってズルっ子じゃん。ユート、こんな頼みなんか聞く必要は無いわ!」
「おや、そんな事を言って良いのかな? 確か虹色の枝が欲しいんじゃあなかったっけか?」
「うわぁ、サイッテー!」
どや顔なファーリスに、ベロニカは頬杖を突きながらブー垂れた。
「くっくっく。何とでも言うが良いさ。僕も手段なんて選んでる場合じゃないんだからね。さあ、僕の代わりにファーリス杯へ出場してくれるよね?」
「ま、構わないが……」
「良かった! そう言ってくれると思ったよ! 無事にレースが終わったら父上に虹色の枝の件は掛け合うと必ず約束する!」
喜色満面なファーリスは万歳すらしている。
「とはいえ、普通にやったらバレる可能性はゼロじゃないんだよな……」
ユートは思案顔となり、ファーリスはすぐにテントを出ていった。
その姿を、派手〜に一礼をするシルビアが視ているのに気付かないで。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ねぇ、ユート」
「さっきから御立腹だね、ベロニカは」
「あったり前じゃない! あんなズルっ子を易々と引き受けちゃってさ! そんなのあの王子様の為になんてならないわよ?」
カミュやセーニャも同意見らしく、二人はコクコクと頷いていた。
「まあ、そうだろうね」
「判ってんなら!」
「どうせその内に痛い目をみるだろ。平然とズルをやってたら……ね」
「そうかもだけどさ!」
納得がいかないらしく、やはり仏頂面なベロニカ。
「仏頂面も可愛いけどね、出来たらもっと笑顔とかを見たいな」
「ブッ! な、な、何を言ってんねよ? バカ!」
ベロニカは真っ赤になりながら、テントから走り去ってしまった
「あ、お姉様!」
それをセーニャが追う。
愉しげにそれを見つめ、果実水を飲み干したユートはサーカスも終わったみたいだし、席を立ち上がってカミュとともに砂漠へ。
「今日も修業……だよな」
「当然。時間が空くのならまずは修業だろ」
「へーへー」
カミュも修業自体は決して嫌ではない。
強くなりたかった。
あの時≠ノ手を伸ばせなかった自分、そして絶望した表情のアイツ≠フ顔を今でも夢に視る。
(マヤ、必ず俺が!)
その為にもレッドオーブを求めたのだから。
今や慣れたものの負荷を掛けた状態、それで模擬戦の形式でユートと戦う。
ブーメラン二刀流の完成を目指して、両手にブーメランを手にしての戦闘。
現状では未完成だから、実戦では使っていない。
在らぬ失敗をしたら仲間を危機に晒すからだ。
深刻な命の危険が無いからこそ、この模擬戦で使って腕を磨いている。
カミュは割と珍しく謂わば両利き、ちゃんと修業をすれば両手に武器を持って等しい攻撃力を得られた。
「おりゃっ!」
況してや器用さは折紙付きのもので、ブーメランを同時に二つ投げて普通に取れる程であったと云う。
ユートの識らない、原典ゲームに於いてカミュとは【二刀の心得】以外にも、もう一つ【二刀の極意】なるスキルを持っている。
それは現実のカミュにも確り根付いていた。
まあ、すぐには取れないスキルなのだが……
ユートは識らないながら修業により、そんなカミュの潜在能力を発現させつつあったのである。
模擬後には魔物との戦いで成果を確かめてもいた。
魔物なんてそこら辺を彷徨けば居るし、何故か斃してもいつの間にか補充されているから間引きも兼ね、売り払う素材を手にする為にも殺っているのだ。
「やべ、囲まれた!」
幾ら複数攻撃が可能だとはいえ、単純な攻撃力だと幾分か低いからだろうか、斃し切れない魔物によって包囲されたカミュ。
勿論、拘束を解いたなら楽に戦えるのであろうが、修業をしている関係上から拘束を解く訳にいかない。
当然、どうしても生命を護る為には解くのだけど、雑魚に囲まれた程度で解かれては困る。
「右手にライデイン、左手にライデイン……」
よって、ユートは介入をする事に決めた。
「合体、バイデイン!」
ドガァァァンッ!
カミュを除く全ての魔物に落ちた雷撃。
元々のダメージ分を足して更に倍加される性質で、単純なダメージは可成りのものとなる。
ライデインだけでは斃し切れない故に、バイデインとして放ったのだろうけど今度はオーバーキルだ。
「……」
「サンキュー、助かった。っていうかどうしたよ?」
「いや、名前がなぁ」
「名前?」
「ライデイン×2というのも味気無いけど、だからってバイデインは無いわ〜」
即興で付けた名前だが、お気に召さなかったらしいユートは、ちょっと不満そうな表情となっている。
「アンタら夜中に何をやってんのよ?」
「ベロニカ、セーニャ」
どうやら付けられていたらしく、そして今回の修業が終わったのを見越し二人が姿を見せた。
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