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けいおん!〜ネコミミ部長奮闘記〜
♯8
 それから少しして、憂が買い物袋片手にやってきた。制服を着てなかったら、女子高生と言うよりは主婦に見える。
「もう、皆さんに迷惑かけちゃだめだよお姉ちゃん」
「えへへ、ごめんごめん」
 憂からも唯先輩が呼んでいたのが見えていたらしく、店の中に入る時には顔を赤らめていた。
「すみません皆さん」
 改めて憂が頭を下げる。もうどっちが姉なのか分からなくなってきた。
「いいよっ! それより座りなよ。疲れたでしょ?」
 慌てて律先輩が空いてる椅子を持ってきて、憂に座るように促す。
「すみません、失礼します」
 憂が座ると、何故か面接みたいな緊張感が走った。私が面接官ならこの子を落とすことは出来ないだろうね。
 さて、どう話を切り出そうか。
「何で憂は部活に入らないの?」
 一人いつものようにのほほんとしている唯先輩がポテトをくわえながらストレートに聞いた。
「そうだよ、あんなにギター上手いのに!」
 我に返った律先輩が体を乗り出して憂に尋ねる。
「あれ? 憂ギター弾けたの?」
 唯先輩は不思議そうに首を傾げる。そういえば憂がギターを弾いたのって、去年の学祭前に唯先輩が風邪をひいて身代わりした時だったもんね。
「う、うん。ちょっとね」
 憂は慌ててごまかした。あの時、さわ子先生にはすぐにバレたけど、本当に唯先輩そっくりだったなぁ。
「軽音部に入ってくれない? 部員が足りなくて困ってるんだ」
 澪先輩が顔の前で手を合わせてお願いする。私は憂の様子をうかがった。
「か、考えておきます」
 憂は弱々しく答えた。やっぱり頑固だなぁ。



 結局憂への説得はことごとく失敗し、私は肩を落とした。帰り際に憂は「ごめんね」と謝って来たので、私は「気にしないで」と答えた。
 けど、どうしようかな本当に。

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あきゅろす。
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