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けいおん!〜ネコミミ部長奮闘記〜
♯1
 秋も深まって冬の寒さが時折顔をのぞかせる中、私中野梓は1人教室で1枚の紙とにらめっこしていました。
「分かってはいたけど、改めて形にされるときついなぁ」
 私が所属する軽音部は今先輩達が引退して部員は私1人しかいないのです。このままだと来年には軽音部は消滅。先輩達との思い出は残っても、軽音部がなくなってしまうのは嫌!
 今まで部室にしていた音楽室からも追い出されちゃうし……。まあ、今まで私物のように使っていたのに追い出されなかったのがおかしいのだけれど。
「けど、どうしよう。今から部員集めるのも難しいし」
 私は机に置かれた廃部届がふわりと飛んでいくくらい大きなため息をつくのでした。
「梓ちゃんどうしたの?」
 髪を小さなポニーテールにまとめていないと、この子のお姉さんであり、私の先輩でもある唯先輩にそっくりな(内面は姉からいい部分を全部吸い取ったんじゃないかと言うほど出来た子)憂が話しかけてきた。
「これ」
 私は今すぐにでもごみ箱に叩き込みたいその紙を憂に渡す。
「廃部届?」
「そうなの。この学校って4人以上いないと部として認めてくれないでしょ?」
 憂に紙を返してもらうと、私はまたため息をついた。
「憂、一生のお願いだから一緒にバンドしない?」
 そして私はまた無理を言うと、
「うーん、考えとくね」
と、憂はあっさり言うのだった。
 優しい顔してるのに、意外と頑固なんだよね……憂って。

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あきゅろす。
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