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54しゅーかいだとよ
ヒヤヒヤの連続でオレの寿命に大きく影響した合コンから二日後、週明けの月曜日

いつものように赤高に辿り着けば、なんだか少しいつもと違う雰囲気が教室を包んでいた

クラスは朝っぱちなのに人がまばら、みんなやる気無さすぎるぜ、と思ったのも束の間、オレの一歩後に教室に入って来た、坂本の友人でクラスメートのアンジーが背後から真相をオレに伝えた



「あ、ケンちゃんおっはー、今日しゅーかいあるらしいから一限体育館だって」


集会。またまた赤高に似付かわしくない単語出てきたよ
しかし自分に関係する心当りが何もないオレは、ただ体育館行きたくねえなあ、と呑気に思っていた。




【しゅうかいだとよ】




何度も言うが、赤高はもうハイレベルの馬鹿高だ

生徒の人種はチャラい奴からスポーツ馬鹿、ひきこもり系もいればいきがったちょい悪系と様々だが九割の人間は共通して馬鹿である

ヒコボーや横須賀くんみたいな例外がオレの周りにちょっといるから、以外と賢い人間も混ざっているんじゃと思われそうだが、それは本当にたまたまオレの周りにいるだけでかなりの偶然な一割なのである


そんな赤高で、集会という他の高校なら月一くらいでありそうな行事があるという事は、この学校では相当ただならないという訳で、大概の問題なら個人面談や家庭訪問で済まされ大衆の生徒が他の生徒が起こした不祥事を知る事はまずない
しかし今回は朝っぱらから全校生徒を集めて何かを呼び掛けるらしい、一体何があったのか検討もつかない

赤高で集会が無い理由として、一言で纏めると無駄だからだ。
最強の馬鹿達を一ヶ所に集めれば馬鹿な事をしだす、長期休みの前の集会なんかでも人が多いとテンションの上がり出すやんちゃボーズ達が体育館のカーテンを破りはじめたり花火始めたり体育館に落書き始めたりで収集がつかなくなる


それを先生達もよく分かってて尚、集会をする今回は一体何があったとゆーのか


そんな事を考えながら、体育館に行き着けば既に集合している生徒達が、まるで健康ランドの休憩所で歌謡ショーでも見てるかのようなリラックスムードでだらりと座っている


やっぱりさすが赤高、醸し出すムードが全然違うよ(ある意味)


そんな人ゴミの中ポツリと座ってなんだかぼんやりした顔の黒やんをオレは発見する。


この前の合コンの帰り道で別れて以来の再開、黒やんは最後まであれが合コンだったと気付いているのか定かではない様子だったので手島も無事だった。



「黒やん、何かだるそうね」


「あ、ケン。うん、ちょっとね」


オレが声を掛けたら黒やんは少し遅い反応で振り向く、本当にぼんやりしているようだ。


「ちゅうか、今日なんなのかね。オレ朝来てやたら人いねーから超不気味だったもん」


「そう、オレも思った。そして意外と全員素直に体育館直行してて面白かったわ」


「そうそ、実はみんな集会好きなんだって。いつもフリーな分こういう学校っぽいのが恋しいのかもね」


オレも黒やんの横に腰掛け、適当な話をしていたら、オレは不自然な点に気が付いた

いつも黒やんの横に当り前にいるあの男が居ない。

たらたらと喋る特徴的な声が、聞こえない



「あれ?らんは?」



不思議に思い黒やんの顔を覗けば、黒やんは一瞬悲しんでいる、ともとれるような瞳をして、オレを見返した


「ああ、らん、ちょっと今機嫌悪いから」


「どして?」


ポツリと静かに話始めた黒やん

オレはよく意味が分からずに更に黒やんに聞き返す


「オレに、怒ってるのかも、あいつ」


視線を床に落として呟かれた黒やん言葉はどこか戸惑いを含んでいて、オレはその時始めて、らんの黒やんに対する気持ちが関係しているんじゃないかという勘が働いた

らんの気持ちを知っているオレは、少し心がざわついて焦りが湧く



「らんと、何かあったの?」

黒やんのいつもと違う様子に何かの危機を感じたオレは、確かめるような気持ちで原因を訊ねる


「そういうわけじゃないけど、多分この前」



黒やんが何かを頭に思い浮かべ、予想して語り出そうとしたその時、体育館内にマイクのハウリング音が響いてオレは無意識に体をビクリとさせた


「ええ、みなさん、お待たせしました、少しの間だけ静かにお願いします、今から大事なお話をします。」


いつの間にかステージの上に立っていた教頭先生が調子の悪いマイクを持ちながらこっちを見て話している。

ちょうどいい所で始まってしまった集会。


でもオレにとってはそっちよりこっちの身内事情の方が今は深刻である



「皆さんの間でも知っている人はいるかもしれませんが、先日うちのとある生徒と樫木高校の数人の生徒が傷害事件を起こしました、原因はまだハッキリしていませんがどうやらとあるインターネットのサイトが関係しているようです」


この集会の内容は、オレの予想通り、普段耳にしない言葉ばかり並ぶちんぷんかんぷんなもの


樫木高校、赤高と対極と言えば分かりやすい、この辺じゃ天下の超進学私立高校、赤高で樫木の名前が出る事に違和感があり過ぎる。

インターネットのサイト?

オレはテレビとパソコンと電子レンジの区別もあやうい超アナログ派だから、勿論、それがどう赤高と樫木を結び付けてるかなんて一切推理出来ない。


さすがに、過去に例を見ない赤高の臨時全校集会は、オレと黒やんの話に割って入ってくるだけあって、中々ヘヴィーだった。


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あきゅろす。
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