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14オレんとここないかU
初めて来た他人の家のお茶の間にて、マイホーム気分で爆睡するオレはなんて無礼なんだ。


とても肩身が狭い気持ちでオレは縮こまっていた。


そんなオレの寝癖を軽く手で直しながら、サングラスのお兄さんは優しい口調でこう言う。


「あ〜あ、明男って奴は、自分ばっかりソファーで、友達床に寝させて・・。あ、オレ明男の兄ちゃんです。」



健、明文さんと初対面の時である。




【オレんとここないかU】



明文さんは色んな意味で、坂本と似ていなかった。


「ケン君も赤高?」


「はい、履歴書に書きにくい高校ナンバーワンの赤高です」


あははなんか飲む?とお茶を入れにいく姿も上品で、坂本特有の常に何かしら獲物を探しているようなギラギラオーラも全く感じない。


「うちの弟、特殊な子だから付き合うの疲れんだろ〜。」


「そんな事ないです〜と、言いたい所ですけど。」


この人、弟が見ず知らずの同級生をグリーンピープルにした事知ってるかな〜と思いながら、下手なフォローの出来ないオレは失礼な返事を返してしまった。


「やっぱりな〜、ほんと明男は」


「あ、でも疲れたりはしないっつーか。疲れるにしても、ちょっと程よく運動したほうが快眠出来る世の中ですし」


言いたい事がどんどん意味不明になっていったオレに、なんでもお見すかしのような笑顔でオレの頭をポンポンと叩く明文さん。


「いー子だ、君は。床に寝かされてもそんなふうに言ってくれる。」


「いや、勝手に寝ただけっス、本当ごめんなさい」



オレは明文さんのくれた、インスタント抹茶を、苦かったけど照れ隠しでぐいっと啜った。


「あ、明男の友達なら、らんちゃんと大ちゃん知ってる?らんちゃん昔は背が低くて可愛かったんだよ〜、大ちゃんは昔は一番背高かったんだけどいつの間にからんちゃんにも明男にも追い越されてね〜。」


「黒やん、背高かったんだ〜おもしれ〜」


明文さんの昔話にオレがうふふと笑うと、明文さんはテレビの下のガラスケースから、分厚いアルバムを持ってきて楽しそうに開き始める


「これが小学校の頃の三人でしょ〜、これがもっと小さい頃、あー三人共ガキーおもしれー」


「アハハハハ、坂本の髪がフツーだ!でも元から他の子よりは断然明るいっすね〜」


「そーそ。人より脱色しなくてもあの位明るく染まるから、ずっーとアレなの。いつか毛根死ぬからやめろっつってんだけどねー」


「アハハハハ!おーもれ〜!!」



最高潮の盛り上がりを見せていたその時、明文さんの頭にしし舞が噛み付いた。

違う、いつの間にか起きていた、坂本だ。


「な〜にみてんの〜?オイコラテメー!」


「痛い!痛たたたっち!」

明文さんは全く背後から襲いかかる坂本に気付いてなかったようで、いきなりの頭部の痛みにかなりビビッている。



「お前らサイテーだよ!人が寝てる隙に誰もが見たくてやまない明男写真集無料で見まくって」


ワーワー言いながら、オレと明文さんの間に割り込み座ってきた坂本は、ボサボサの頭で一緒にアルバムを見始めてくる。


「いや〜、やっぱ子供の頃の坂本明男は天使だよ」


「自分で。」


「真顔で。」



悪魔の角のように二カ所ちょんちょんと寝癖のついた頭でそう言ったのだった。

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