1赤高、ケンちゃんの見解
赤部中央高校、通称赤高。どんな学校か、説明するのはとても簡単だ。
中学の頃、教科書開いたことない奴が、それでも高校生になりたいと、なんとなく思って頼るとこ。
つまり誰でも入れてくれる、この辺最低辺のバカ高。
年間に失踪する教師数、最多。この辺一番のヤンキーの巣窟、仙山高校はケンカの強さでは有名だけど、赤高はバカなだけで、強い奴もピンキリで、そっち方面での評判も微妙。
何の取り柄もないように見えるこの学校にも、自慢と言えるもんが二つだけあるらしい。
一つは、日本一品揃えがいい売店、通称赤部ストアーがある事。
もう一つは今年、この辺で最も有名な暴れん坊、四丁目のデヴィル坂本明男が、入学するという事。
【赤高、ケンちゃん(15)の見解。】
赤高の入学式の日、異常気性で蒸し暑い体育館を出た事を覚えている。
別にどうしても高校生になりたかっていうと、そうでもないかも。
オレはただ、若干鬱気味な心をおバカな場所で癒される三年間の時間が欲しかっただけかも知れない。
その時、オレはただほっといて欲しかった。派閥とか恋愛とかで荒んだ心を時間の許される限り、除菌していくつもりで。
「あー体育館埃っぺー。」
桜舞い散る、木の下くしゅんくしゅんとクシャミをした、オレ、健まだ先が何も見えていなかった15歳の春の事だった。
「入学式前くらいモップ掛けとかしろよ、本当馬鹿じゃねーのか、ここあよォー!!」
この入学式の後に、クラス分け発表がある事も知らず、ぶつぶつ言いながら帰宅した春の日だった。
もちろん次の日教室が分からなくて困ったのだった。
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