現世乱武小説
●今度から。(小十佐)
達した直後ということもあり過敏になっていた雄が、情けないことにみるみる元気を取り戻していく。
「あ、っ…ゃ、激しっ…」
ぐちゅぐちゅと手のひらに弄ばれ、いやらしい音に耳を塞ぎたくなる。
適当に追い上げられていると思っていたがそうではなく、的確に感じるツボをまさぐられては乱されて。
張り出したカリ首を指先で擽られると体がよじれそうな快感が全身を犯し、間断のない責め苦に意識が飛びそうになる。
「ッ、」
何かを堪えるように詰まった呼気を漏らす小十郎に強烈な男の色気を感じたのと、再開された楔による突き上げに頭の中が真っ白になったのはほぼ同時。
何も判らなくなりそうだ。
「うあ、んっ…ァあっ」
「腰揺らしやがって……そんなにココがいいか」
「そ、それっ…おかしく…なるっ…!」
気がつけば、もっと深くまで凶暴な肉棒を貪ろうと腰が妖しく蠢いていた。
だがそんな羞恥を煽る小十郎の言葉も、焼き切れそうな理性を前にしてはどこか遠いもののような気がして。
嫌々と首を振ってみたところで取り合ってもらえるでもなく、それどころか擽る程度だったそれが引っ掻くような動きにエスカレートし、びくんと四肢が容赦なく痙攣して唾液を飲み込むタイミングすら見出せなくなる。
「んんっ…あ、ぁ 無理…もうッ、…こじゅうろ さんっ、」
さっき達したことなど、この人の愛撫の前ではなんの理由にもならないらしい。
結局あっさり追い上げられ、気の早い双球はおそらくだいぶ薄くなってしまったであろう欲望を蓄え込んでいた。
それに気付いた小十郎が張り詰めたその双球も巻き込むようにして竿を抜きあげながら低く囁く。
「…俺もだ」
「うあっ、ぁ……ああぁっ」
少し角度をずらし、傲慢な肉棒で弱い一点をごり と突かれると、佐助は高く啼いて再び果てた。
一拍おいて小十郎の乱れた息遣いが耳に届き、胎内の奥に熱いものが広がる感覚。
落ちそうになる意識は、腰と頭に腕をまわしてぎゅっと抱き寄せてきた相手の逞しい腕によって繋ぎとめられた。
体が密着すると中のものが当たっている位置がずれ、ぞくりと甘い寒気にも似たものが背筋を戦慄かせる。
「ッ…あ、ン…」
「まだ足りねえか」
「も、もう結構ですっ」
「…そうか? なら物欲しそうに締めるな」
物欲しそうにかどうかはさておき、実際締まったのは自分でも判ったので言い返せないのが悔しい。
しかし、そんな風に小十郎が言ってくれるのもこちらが危惧しているところをわかっているから。
後処理もしていないし繋がったままだけど、どうしても今言いたくて。
が、先に口を開いたのは小十郎だった。
「今度から俺以外の手でイくな」
「……、」
いきなりなにを言い出すかと思えば…
そんなの今までだって、と。
そこまで考えて佐助は固まった。
「…自分でもってこと?」
「当然だ。俺に気ィ遣って不健康になられても困る」
「でも…あの、」
口篭もるこちらの頭の中など筒抜けなのだろう。
やっぱり迷惑はかけられないと返そうとした佐助の言葉を遮って、小十郎は口答えは許さねぇなどと続け、優しく唇を重ねてきた。
言っていることは押さえつけるようなキツい類のものだが、ちゃんとその裏には暖かいものがあって。
もっと甘えてこい、そんな風に諭されたようで、佐助は胸中で礼を述べてそっと瞼をとじた。
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