現世乱武小説
●持ってけ泥棒(小十佐)
*佐助side*
歳の差っていうやつはどうやったって埋められるものじゃないから、どちらかがあわせてあげなくちゃいけない。
その先がけが色事だ。…と、今は言わせてもらおう。
たとえば。
もしも小十郎さんが絶倫だったとして(仮定からずれている件は触れないでほしい)、その絶倫モードに切り替わる頻度は年を重ねるごとに低下して然るべきだ。
そこで無理をさせたところで疲労は大きいだろうし、一生分の精気をそこに費やしているのではと思うといつか枯れてしまいそうで怖くなる。
言うなれば精気の前借り。ありそうでなさそうだが、なさそうでありそうなあたりが侮れない。
だからひっそりと堪え忍んでいたが、もうそれも限界だった。
人並みに性欲のある自分だが、ここ半年のあいだに大人のテクというものに酔い意識が飛びそうなほどの快感を知った体は 刺激のない日常に耐えることをほとんど放棄していた。
――小十郎の胸に頭を預けたまま、呆然として荒い呼吸を繰り返す。
欲を受け止めた下着を脱がされ、てらてらといやらしく光る自身が晒されると一気に顔が熱くなる。
そして尻の下にある、固くて熱い、確かな存在。服から取り出されたそれを目の当たりにしてみて、改めてそのグロテスクさに目が釘付けになってしまう。
少し腰を揺らされるだけでずり、と後腔の表層を擦られぞわりと毛穴も開くようなもどかしい快感が全身を駆けめぐる。
じかに触れ合うそこは、既に強い刺激を欲して甘く疼いているのが自分でも判った。
「…触ってもねぇのにもう勃ってきたな」
「う、あっ…は、」
己の精液で濡れた肉茎の表面を覆う皮を伸ばすようにしごかれると、半端な兆しを見せていたそれはたちまち硬度を取り戻した。
びくびくと下肢が戦慄き、先端の小さな穴からはとろりとろりと白濁混じりの液が溢れてくる。
「…若いな」
「ッ、」
言われた言葉はいまの心境の核心に迫ったもので。
あまりの優しい響きに一瞬声を失った。
相手の胸から顔を上げてその鋭い三白眼を見上げる。
「…こ、小十郎さん、俺っ…」
「わかってる。…喋るな」
困ったように小十郎は笑うと、薄い唇をこちらの額に落とした。
どくん。
――やばい。
持っていかれた。
少し乾いた唇の感触。
腰にくる低い声。
それらに心どころか内蔵ごと掻っ攫われたような感覚。それが過言にならないくらいごっそり持っていかれた。
…また好きになったかも。
これ以上のめり込んだら依存してしまいそうだ。
きっとこういうのを夢中というのだろう。死語かもしれないが、メロメロというやつだ。
「ん、あぁッ…」
うっとりとした乙女思考から佐助を現実に引き戻したのは、後腔をまさぐる小十郎の指だった。
くにくにと菊門を押して遊んでいたかと思うと、不意につぷりと中指が侵入してくる。
先の白濁がうしろにもまわっていたらしく、しっとりと濡れていることに気づき羞恥に卒倒しそうになる。
ぞくぞくと寒気にも似た快感が全身を走り、いつの間にか放置されていた自身に向いていたものも含めたすべての神経がそこに集中していた。
「あ… く、」
「一人でやったとき…こっちはいじらなかったのか?」
随分キツくなってるな、と漏らす小十郎の声からはからかうような色はなく、寧ろ労りすら感じてとれた。
少し掠れたその声だけで、ずくりと下肢が疼く。
「やろうと、したけどっ……気持ちよくなくて、…ッ」
「……。」
小十郎はなにか言おうと口を薄く開いたが、細く息を吐いただけだった。
…ただ、尻の下の大人の性器がさらに大きくなった気がしたのは気のせいではないと思う。
「…なら、気持ちよくしてやる」
静かに呟くと、小十郎は前触れなく指を増やして単純な抽挿ではなく肉壁を押し広げるように動かした。
「ぃ、ん! ッ…は」
胎内を犯す異物の存在は漠然とした違和感を運んでくる。
痛みだって当然あった。でも、この男にあの一点をなぶってほしくて。
懸命に息を吐きつつ指を迎えていると、ふわりと頭を抱き寄せられた。
…大切にされていることが自然と伝わってくる。
心臓がきゅっと締め付けられるような、甘くて苦しい感覚を覚えた。
ぼんやりとその腕に包まれ小十郎の匂いに満たされていると、不意に耳に愛しい声が流れ込んできた。
「…ここ、好きだったよな」
はっとしたときには待ち望んでいたその一点を強く抉られた。
「や、あぁッ!」
穏やかな恋慕の情もすべて吹き飛ばす、突き上げてくるような強烈な快感。
肉壁が収縮するのが自分でも判ったが、ぐりぐりと続く終わりのない責め苦に追い立てられ気にしている暇がない。
体が跳ねるほどの刺激にじわりと視界が滲んだ。
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