現世乱武小説
●律儀な恋人(小十佐)
左手を掴むその手も、よくよく考えてみればひどく熱を持っている。
呼吸こそ荒くないものの、その唇から零れ落ちる吐息も常とは違くて。
佐助はまだ20そこそこだ。
まだまだ刺激を欲して然るべき年頃。
「…ずっと我慢してたのか?」
「ひっ、ぁ…」
唇を真っ赤に染まった耳たぶに寄せて、甘噛みしながら低く訊ねるとぴくんと腕の中の身体が身じろいだ。
そのまま耳の中へと舌を差し入れ、わざと水音をたてながら舐めてやれば怯えるように首を竦めて顔を背ける。
「一人で抜くとき……なに考えてた?」
「あぁっ…待っ、や…ッ」
逃げる顔を追いかけて耳を犯しながら固く屹立した雄をやわやわと揉み込むと、たちまち甘い声が上がり愛しい身体が捩れる。
「嫌じゃねえだろ…。服の上からいじられてこんなに感じて」
「ちがっ、耳……やめっ」
「耳?耳がどうした、足りねぇか」
くつくつと喉で笑いながら耳穴の奥に舌をねじ込んで擦ってやる。
慣れない愛撫に佐助の体は不規則に反応し、力が抜けてしまったのか立っていられずにその場にへたり込みそうになるところを支えると、熱で湿った呼気を甘く吐きながらこちらの背に腕をまわしてきた。
これにはさすがに理性がぐらっとくる。
「小十郎、さん…」
「…なんだ」
吐息混じりに呼ばれ、佐助の男根をゆるゆるといじることをやめずに問い返す。
服を押し上げるそれは既に濡れてきているらしく、布越しでもぬるついているのが判った。
「ッ…――ごめん、」
一瞬、何に対して謝られたのか判じかねたが、すぐに欲の処理に付き合わせている現状のことかと合点する。
が、こんなのは頼まれればいくらでもやってやること。寧ろ今まで一人で溜め込んでいたことを謝ってもらった方がいいくらいだ。
相変わらず律儀な恋人につい苦笑が漏れたが、それを誤魔化すように相手の雄を強く抜きあげた。
「んあぁっ、ひ…ぁあ!」
くち、にちゃ…
先端を服にこすりつけるように撫でてやると高い声が甘く響く。
背中にまわった手にきつくワイシャツを握られ、小十郎は佐助がずり落ちないよう気を払いながらゆっくり布団の上に腰を下ろした。
次いで相手のワークパンツを脱がし、下着のみにするなり己の腰を跨がせる。
「いちいち気にするな。…お前の相手ならいくらでもする」
「やっ…あた、当たって…」
向かい合わせになった佐助の尻の間に固くそそり立った自身を擦り付けてやると、目尻に涙を滲ませながら腕の中でぴくぴく震えた。。
…無意識なのだろうが、こちらの逸物の感触に驚いたからか尻たぶをキュッと締められて、そんなもどかしい刺激が苦しくて仕方ない。
「…エロい顔だな」
「う、あっ……やだっ、それ…ァあ!」
ごりごりと菊門のあたりに押しつけると妖艶な腰つかいが応える。
嫌といいながらも尻を逆にもじもじさせてくる動きは、まるでこちらの肉棒を咀嚼してくるようで淫らだ。
「っ、…尻こすられて前勃たせて……ここは? どうしてほしい?」
互いの体のあいだに手を滑り込ませ、殊更思わせぶりに佐助の下腹から体を撫で上げつつシャツをたくしあげて親指の腹で胸の飾りを掠める。
途端に、ほどよく筋肉のついた背筋がピンと反り返った。
「ぁンンっ!」
「ふ……挿れる前から締めるなよ」
「だって……も、でるッ…」
涙ながらに訴える佐助に、自然と目が細くなる。
上がる口角をそのままに胸を弱く撫でながら、ボクサーパンツの中で窮屈そうにしている男根に下着の上から指を這わせると それだけで健気に震えて先端にじわりとしみを作った。
「はっ ぁ…こじゅうろ、さん……イきた、いっ」
「…わかった」
佐助の弱々しい切望に短く答えると、顔をこちらの胸にうずめてきた。
尻のあいだに肉棒をあてがったまま、相手の自身を握り込む手に力を込める。
裏筋を引っかくようにしながら先端へと指を滑らせ、くちゅくちゅと淫猥な水音をたてる鈴口を責め立ててやると、どくりと手の中で男根が拍動し下着の中に欲を放った。
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