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現世乱武小説
●好きだから赦せること(小十佐)


もともと女との経験が豊富だったのか、佐助は年の割にキスに慣れている。
だが今は薬の名残で思い通りにいかないらしく、小十郎の舌がいくら佐助のそれを絡め取って擦り付けても拙々しく追いかけてくるだけで。
普段と違って必死な様が可愛らしくてこちらの気がおかしくなりそうだ。


「あ、は…っ」


ぴくん、と微かに震える肩に片手を滑らせ、唇から首筋に、首筋から鎖骨、そして胸へと丁寧に口付けを落としながらゆっくり下りていく。

冷房が効いているにも関わらず、佐助の体は熱い。触れていると内側から滲み出るような熱を感じ取ることができて、小十郎は軽く眉を潜めた。

薬を飲まされてからどれほど時間がたったかは判らないが、さすがに効果が長すぎやしないだろうか。
もちろん媚薬なんて飲んだ経験はないし、平均効能時間を知っているわけでもないが。


「…出すもんもねぇのに…どれだけ強いの飲まされたんだ?」

「わかんっ……でも、小十郎さんとのが、やっぱ…いい、ッ!」


熱い吐息に言葉を乗せて紡ぐ佐助に小十郎は何かを呑み込み、軽く唇を湿らせて相手の膝を掴むと両側に大きく開いた。
眼前に晒された、固く屹立した雄と張り詰めた双球、そしてさらに膝を押し上げてやれば見知らぬ男を受け入れて緩く熟した蕾。


「やめ、そんなっ…!」

「…もっと恥ずかしいことさせられたりしたんだろう?今更このくらいで騒ぐな」

「ん、ゃ!ああっ、あ」


取り出した己の欲を蕾の縁に押し付ける。
面白いくらい跳ねる白い体は、表面の肌ばかりを擦るもどかしい刺激に焦れたのか腰を淫蕩に揺らして小十郎を誘い込む。


「挿、れてっ 小十郎さん……もう、おかしくなるっ」


涙に濡れた頬を上気させ、悩ましげに眉を寄せて。

いつもの佐助なら有り得ない、恥じらいよりも本能が先に立った淫らな肢体。
こんな姿を、あんな野良男共に――


鎮まらない怒りを愛しい体にぶつけたりしてしまわないように、ぐっと押しとどめて痛々しいまでに赤く主張する佐助の雄を一気にくわえた。


「だめ…今っ!ほんとでる からっ…」


大仰なほど腰を跳ねさせる様子が堪らなくそそる。
そんな反応をされたら、ダメと言われてもああそうかなどと引き下がれるはずがなくて。


「あぁ、っあ!」


雄に絡み付く小十郎の舌はひどく淫らで熱くて。
既になんども爆発した佐助の逸物を容易に追い込んでいく。
太股にそのごつごつした手が触れているだけで身を捩りたくなるような悦楽が込み上げてきて、もはやそれは薬の効果のせいだけではなかったかもしれない。

張り詰めた雄にたまに歯が掠めていく度に下腹部がひくつく。
男どもに荒々しく暴かれた後腔も、形を覚えつつあるそれで潤うことを求めて柔らかな伸縮を繰り返していた。


「ッや、あああ――!!」


ねっとりと舐め上げたりちろちろとくびれを遊んでみたりしていた小十郎が、唐突にきつく吸い上げてくると快楽に従順になった体は簡単に達する。
ちゅ、と音を残して唇が離れていくと、そこを銀糸が艶やかに繋いで消えた。


「は…、ほんとに何も出ねぇんだな」


どこか諦めが滲んだ微笑。
小十郎のそんな表情に切なさがこみ上げてくる。

ふるりと震える雄から小十郎は顔を離し、佐助の膝を更に押し上げると屹立した凶暴な自身の先端で後腔を分け入る。
一瞬そこで小十郎が動きを止めたので、またもや待てを食らうのかと慌てて佐助が相手を見上げようとした刹那。


「くっ…ぁああ!!」


いくら数人に入れ替わり立ち替わり掘られたところで、やはりこの人に敵うものはないんだと、脳髄にたたき込まれて思い知らされる。


「いっあ!んんっ…やあぁア!!」

「ッは…」


熱により霞む視界が捉えたのは、鋭い三白眼を軽く伏せて黒髪を乱しながら息を繋ぐ、愛しい男。


――ああ、やっぱり俺は。


本当のことをいえば、もう腕も上がらない。
声を上げることも怠い。
涙を流すことも疲れる。
与えられる刺激に体を震わせるのも面倒だ。


それでも。
どんな無体を働かれても。まるで一方的に犯されているようでも。

俺は、この人を受け入れる。



だって、好きだから。
どうしようもないくらい、愛してしまったから。



薬が引いてきたのか、はたまたとうとう頭のどこかの回線の糸が切れたのか。
意識が堕ちる前、佐助の心中はひどく穏やかだった。


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あきゅろす。
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