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現世乱武小説
元親+失言=ケツバット(左三)


元親が何故あんなぎりぎりで登校する羽目になったのか、テストが終了するやいなや皆で本人を問い質した。

が、理由は寝坊などではなく意外なものだった。


「いやな、家出るには出たんだけどよ、途中で毛利のノート忘れたっつって引き返したんだよ」

「…我のノート?」


そんなもの貸していたかと首を捻る元就に元親が苦笑する。


「いんや、借りてねぇよ」

「……であろうな。つまり貴様、」

「そ。借りてもいねぇノート借りた気になって、ずっとそれ探してたってわけ」

「……」

すべてを聞き終えると、元就は長く深い溜息をついた。

「…呆れてものも言えぬわ。我に連絡を入れればすぐに判ったことであろう」


元就はそう言うが、それは自分がノートを持っていないという可能性を見出ださないと出てこない考えだ。
一人で慌てて無駄に探し回ってしまうのも仕方ないというもの。


「でもお前、よく気付いたな。ノート借りてなかったってこと」


政宗が可笑しそうに笑いを噛み殺しながら元親の肩に手を置く。
元親は何か言おうと口を開きかけたが、すぐに吹っ切ったようににっと笑い「だろ?」と胸を反らした。

そこで三成は思った。
もしやこいつ…


「いや、諦めて家を出たのだろう。その途中で借りていないことを思い出したのではないか?」

「はっ?…え、ななななんでわかんだよ!!」


ぎょっとしたように三成を振り返る元親の腕を、細く白い手ががっしと掴んだ。


「…では貴様、我のノートをもし本当に所持していたらどうするつもりだった…」

「や、もし持ってたら絶対見つけてたって!」


ぐぐぐと手に力を入れていく元就に懸命に弁解しているが、元親に軍配が上がることはなかった。
しばらくの攻防ののち、元親が折れたのだ。


「判った…判ったよ、俺が悪かった」

「ふん、当然だ。なればさっさとマックに連れて行け」

「あ?なに、腹減ってんのか?…あー、だから機嫌わりぃのか」

「…貴様、やはりあとでケツバットの刑に処する」

「なんでだよっ」


そのまま元親は腕を掴まれたまま元就に引っ張られていった。

本当にあの二人は仲がいいのか悪いのか謎だ。
まぁなんだかんだで一緒にいるのだから悪くはないのだろうが。


と、そのとき政宗の後ろから鈍く情けない音が響いた。
腹の虫が鳴いたらしい。
誰の、というのは明言せずとも判るだろう。胃袋キャラはここには一人しかいないのだ。


「う……か、かたじけないっ、元就殿たちの会話を聞いていたら…」


顔を赤らめて腹を抱える幸村に、政宗が吹き出した。


「Okay.兼続、三成。俺らも飯にしようぜ」

「だな。午後のテストのため鋭気を養わねば」


言いつつそれぞれ昼飯を取りに机へと散る。
この緩さがなんとも心地いい。

よし、午後も頑張ろう。


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あきゅろす。
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