現世乱武小説
●寂しくて(左三)
左近の指は増えても尚遠慮を知らず、ただ激しさを増すばかり。
奥まで暴くと、少し引き返して的確にある一点に強く指を押し付けてきた。
「やァあ!だめっ……そこ、ひぅぅッ」
執拗に押し続ける指から逃れようと左近に体ごと引っ付き、膝で立ってきゅうと指を締め付ける。
びくびくと震える腕を必死に相手の首に巻き付け、顎の下あたりに顔を逃がした。
左近が小さく笑ったような息遣いを感じたが、啼きどころを攻められたまま腰を妖しい手つきで引き寄せられた途端ぴゅ、と白濁が零れてしまいそれどころではない。
「三成さん…俺がいないあいだ、寂しかったですか…?」
「はッ…んぁあ!さ、さみしかっ…!」
前触れなくそんなことを訊かれるが、火花が散ってショートしてしまった今の思考回路。
普段のような減らず口を叩くのも忘れてひたすら頷き、素直に答えていた。
それを引き金に、普段なら死んでも言いたくないはずの言葉が突いて出てくる。
「さこ……も、挿れてっ…」
指で掻き回されるだけでは足りない。
もっと確かな質量と、溶けんばかりの熱が欲しい。
血管が浮き上がったその大きな肉棒で目茶苦茶に擦り立てて欲しい。
「っ…、やらしい顔だ…」
わざとじゃないかと思うほど甘く鼓膜を刺激する掠れた声で囁かれると、赤黒い熱を取り出した左近に腰を掴まれた。
向かい合うような体勢をそのままに徐々に腰を下ろされていく。
入口を押し広げられ、ごつごつとしたその輪郭がリアルに伝わってくる。
「ッああ……大き、ぃ…やぅっ」
固く隆起した血管の形に沿うようにみっちり密着しようとする内壁。
が、密着したところで奥を目指す楔を繋ぎ留めることなど出来ずに捻れて擦れ、粟立つような快感に変換されていく。
ずぐずぐと自分の体重で更なる深みへと自ら誘い込み、それほど時間を要さずにすべてを呑み込んだ。
「ぁ……く、っ」
息も詰まる圧迫感。
痛みはないながらも、苦しさは毎度同じだった。
「動きますよ…?」
その言葉に小さく首肯を返すと、左近は腰をゆっくり扱い突き上げた。
「ふ、ァあ!…も、もっと…強くっ…」
「貴方って人は……どうぞ、好きなだけ食っちまってください…!」
溜息混じりに言うと、左近は三成の腰を固定して激しく打ち付けてきた。
がくんがくんとぶれる視界が霞んでいく。
明らかに弱い一点を狙った動きに気が振れそうだ。
「ひぁあッ、あァ!さこっ…はぁぅっ!」
幾分か薄くなった精液が弾け左近の腹を汚す。
量も減ってきたことを確認すると、左近は雄の炎を揺らめかせる双眸を細めて口角を上げた。
そして不意にこちらの体を持ち上げ、くるりと体を返して四つん這いにさせる。
「な、…!」
「淫乱に過ぎる三成さんはこのほうがお好きかと思いまして」
唖然とするばかりのこちらににこりと笑いかけてくる左近。
寝言は寝て言え…!
喚き散らしたかったが、律動を再開されてしまい口を開いても媚びた喘ぎしか出てこない。
背後から貫かれるなど獣じみていて受け入れがたかったが、それ以上に左近の顔を見られないことが悲しかった。
ぐぷ、ちゅぷっ
淫らな水音ばかりが耳にこびりつく。
「はっ、ん ゃああ!うあっ、ひぅんッ」
「く、ッ!」
唾液を口の端から垂らし、びくびくと腰を悸かせる。
受け入れがたいといくら頭で思ったところで、押し寄せる快楽の波には呆気なく呑まれてしまう。
四肢を痙攣させながらぎゅっとシーツを握り、最後にまた薄くなった精を吐き出すと続けて左近も中に欲を放った。
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