現世乱武小説
やっぱり悪趣味(左三)
固く張り詰める熱芯をそのままに左近に抱き上げられ、寝室へと連れていかれると穿いていたものを脱がされベッドの縁に座らされた。
いつもなら寝かされる展開なのに、と訝しがるこちらの視線を汲み取ったのか、左近は思わせぶりな微笑を見せて自らもベッドの上に腰を下ろす。
…途端、嫌な予感が胸に押し寄せる。
気付きたくなかったが、これはやはり…
「三成さん、俺の前に座ってください」
……やっぱりか。
なんの悪気もないようなにこやかな笑みも、見ようによってはだらしないにやけ顔に見えてくる。
今すぐ平手を見舞って凛々しくきりっとしたいつもの顔に戻してやろうか。
「…断る」
仏頂面で言い放ち体ごとそっぽを向くと、いかにも楽しんでいますといった声が返ってきた。
「でも、イきたいんでしょう?」
「……」
「あ、もしかして…」
「…?」
「左近が抜いてさしあげたほうが気持ち良いですか?」
「ばっ…!お、お前何ッ…」
思いきり唾が飛んでしまった。
何を言い出すかと思ったら…!
そんな理由で自慰を拒むほど変態地味ていない。
しかし左近に相変わらず楽しそうな声で「じゃあ、ほら」と促され、脇を持ち上げられて向かい合うような位置に座らされた。
どこがどう繋がってじゃあ、などという言葉が出てくるんだ。
「…そんなに嫌そうな顔しないでくださいよ。途中まで俺がやりますから……それでいいですか?」
「ちょっ、左近……ん、ァ…やめっ」
台詞を言い切らないうちに左近の手がこちらの自身を捉える。
触れられていなかったため力を失いかけていた自身が、いきなりの手淫によりすぐにむくりと起き上がり 息を潜めていた快感が迫り出してくる。
散々膝で揉まれた自身は己の先走りで濡れそぼり、ぬめりを帯びたそれは左近の手の動きを円滑にさせた。
…というかちょっと待て。
お前が途中までやって、そのあとはどうなる?
俺はまだやるとすら言っていないのに、何故既に自分の目の前でやることを念頭に置いているのだお前はっ
頭の中は左近の施す手管に呑み込まれまいと必死に文句を重ねるが、性器に直接愛撫を受けている状態ではそんな行為は文字どおり無駄な抵抗というやつだ。
「ふ、んぁっ…は、」
「もう少しだけ……俺にやらせてくださいね」
全体を強く上下に擦られ、張っている裏筋を指の腹でくにくにと押される。
ぴくぴくと不規則に波打つ太腿のあいだで痛々しいほど育った自身を、ほかの誰でもない左近に触られている。
そしてそれを喜ぶかのように、自身の先からは僅かな白濁を伴った透明な先走りが絶え間無くとろとろと流れ出てくる。
こんな光景をまじまじと見たのははじめてで、そこから目を逸らしたいのに吸い寄せられるように凝視してしまう。
せめて余計な声が出てしまわないようにと、手の甲を口に押し当てるのがやっとだった。
「…見えます?三成さんのこの先端、物欲しげにぱくぱくしてますよ」
そう言って、先走りを垂れ流す雄の先に指をくっと宛てがってくる。
思いの外力強い指の感触に、思わず腰が逃げるように跳ねた。
「あ、ァあ!ひぅ……お、すなっ…!」
「でもほら、当てたり離したりするとぴたっとくっついてくるんですよ」
「やっ、も…触るなっ……ん、はぁッ」
まるでつつくように鈴口を指でいじられ、もどかしさと羞恥に目の前がどろどろと赤く染まっていく。
口を押さえていたのと反対の手で、自身を好きにしている左近の手首を掴んだ。
このまま同じところばかり攻められていたら射精してしまう。
左近に快楽を委ねたいという欲を辛うじて残っていた理性でなんとか捩伏せ、ふるふると頭を振る。
己の目の前で手淫されて達するなど、なけなしのプライドが赦そうはずがない。
「左近ッ…、はっ……も…はなせ…!」
「…限界、近いみたいですね。こんなに手の中で震えて…
左近の手はそんなにお好きですか」
「うるさっ――…?」
相手の手をはたき落とそうとしたが、それより早く左近は俺から離れた。
完全にどこも触れていない。
急に放置された自身は、不服そうに快感を求めてのたうちまわるばかり。
溜め込んだ種子を吐き出したくてうずうずする下半身を持て余しちらりと視線を上げると。
「言ったでしょう。俺は途中までです」
「…ッ」
「どうぞ」
クスリと小さく笑う左近を、歯を食いしばって睨み上げた。
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