現世乱武小説
●Give up(小十佐)
唇を離すと、動いていいかと確かめるように身体を揺さぶられる。
「んぁっ、…は、」
肉壁が捻れるように楔に食らい付きながら、粘膜を隔てた向こうでしこりが歓喜の悲鳴を上げた。
焦らすような動きに自然と背がしなる。
「そんなに触ってほしいか?」
「なに……やぅっ」
小十郎へと突き出す形になっていた胸の突起。
ぴんと立ち上がったそれを親指の腹で捏ねられ、嬌声を上げる。
同時に少しずつではあるが律動が開始された。
「は…ん、ぁ…っ、」
腰を支えられながら、少し角度を変えて弱いところを攻め立てていく。まるで覚え込ませるように何度も何度も。
そのあとは自然と身体が動いてしまうばかりだった。
自ら悦いように腰を進め、相手の律動に合わせて重心を落とす。
自分から快感を求めるように――貪るように動くことに、辛うじて胸の一角に巣くっていた理性が羞恥心を煽るが、もはやそれすら刺激となりうる。
「こじゅ、ろっ…さ、…ぁあ!」
こちらの動きを甘受していた小十郎が、最奥へと肉棒を突き刺した。
そのまま大腿を下に押さえ付け、これ以上奥には入らないという状態で円を描くように動かれる。
「やっ、く……はぁ、ぁ…!」
「…いつからこんないやらしい身体になりやがった」
嘆息気味に呟き、片手で佐助の熱を包み込んだ。
多少の刺激にも反応してしまう今の身体は、それだけで怯えるように過剰に反応する。
「っ……ん、は…」
小十郎の肩に目を押し付け、内臓まで押し上げられてくる錯覚を覚えるほどの下肢への施しを耐え忍ぶ。
絶え間無く口唇から零れる濡れた声のおかげで、口を閉じることすらままならない。
がくがくと揺さぶられ、胎内を目茶苦茶に荒らされる。
接続部からの濡れそぼった秘めやかな恥音。
目頭を押し付けている肩は筋肉質で、しっとり汗をかいていて。
掌で触れている胸には、自分にはない力強さが。
小十郎のすべてに陶酔していると、今まで側壁をなぶっていた肉棒が前立腺へと向けられた。
強弱、緩急…それらを付加されながら、動くたびに自身が小十郎の手でしごかれる。
「あ、はぁっ…こ、じゅっ…ぁあッ!」
「く、っ…!」
ニ、三度肩をびくつかせ、最初に比べて濃度もだいぶ薄くなった精液を放った。
続けて小十郎の熱い飛沫が奥へと叩き付けられる。
さすがに意識が飛びかけたが、強く小十郎に抱きしめられたためなんとか踏みとどまれた。
少しだけ顔を上げて、目頭を当てていた肩に唇を触れさせる。
まだ荒い呼吸を繰り返しながら、たいして力が入らない両の腕を隻眼の竜が躍る背中へと巻き付けた。
「…悪いな、何度も付き合わせて…」
耳にかざる吐息が擽ったくて思わず肩を竦める。
そこで話すのは反則だ。
その声は俺にとって凶器。
「ん…いいよ別に」
結局二回どころではなかったし、腰には確実にきている。
でも、ただ性欲を処理するための情交とはわけが違う。
言葉が足りなくても、愛されてるって判るから。
「……小十郎さん」
「なんだ?」
負けじと腕に力を入れて肌を合わせる。
ちょっと喉も枯れ気味だけど、夏風邪ってのもまぁ言い訳としてはありだろう。
腰を支えていた手で頭を撫でられる。
全然苦しそうにしないその様子になんとなくむっとして、抱きしめる腕により一層力を込めてやった。
「…あのな、あんまりそういうことすると…」
恨めしげに呟いたかと思うと、小十郎に緩く中を突かれた。
「んっ、や…」
ぐち、と接合部が僅かに開き、胎内に入ったままの小十郎の白濁が一筋流れ落ちる。
液体が出ていく感覚に喉を震わせていると、脇を抱かれて持ち上げられた。
ずるりと肉棒が引き抜かれ、同時に精液が溢れ出る。
「ひぁっ、んっ…は、ぁ」
小十郎は膝だけでも立てさせようとしているようだが、それもままならず後腔も緩みきった状態で再び小十郎の胸へくたりとしな垂れかかった。
流れる精液が太股を伝うたびにぞくぞくする。
「……そんな姿見せられちゃあ…もう一戦やりてぇな…」
「む、無理っ!」
小十郎の胸にしがみつきながら、我ながら気絶する保証すらできる提案を必死に却下した。
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