現世乱武小説
●果てない慈愛(小十佐)
指とはまた違った動きを繰り出す舌に翻弄され、押さえられている内股がびくっびくっ、と不規則に痙攣を繰り返す。
「ゃ、はっ…こ、じゅ…」
「……熱いな」
顔を上げ、眉間にしわを寄せながら自分の人差し指と中指を適当に舐める小十郎の姿に背筋が粟立つ。
そして唾液を絡ませた指を、入口ばかり攻められていたためにすっかり弛緩してしまっている浅いところに差し入れられた。
身体のどこが弱いかは、とっくに小十郎に割れている。
判明した感度のいい場所はねちっこいほどに攻められ、開拓されてより強い快感を欲する。
「は、あっ……んぁ…」
少しずつ奥へと押し入り、内壁を広げるように少々乱暴に擦られる。
異物による圧迫で追い詰められているような感覚に陥りながら、確かに満たされていくものを感じる。
内に納めているこの指は、他でもない小十郎の指。
「んっ、ぅ……あぁっ」
「今日はいつになく早いな。こういう抱かれ方は好きか?」
前立腺を掠めただけで達した佐助を、意地の悪い微笑で見下ろす。
荒い呼吸を繰り返し、ぼんやりとした視界と繁雑になっていく頭で小十郎を捉える。
抱かれ方なんてどうだっていい。
相手があんたなら、何をされても嬉しいんだ。
どうすれば伝わる?
言えばいいのかな。
でも……俺様がそんな甘ったるいこと口にするっての?
どうでもいいような、プライドとでも言うべき意地が邪魔して思うことを素直に表現できない。
「…いっか。無理に…しなくて…」
「あ?」
「ん…なんでもないよ」
無理に表現なんてしなくていいのかもしれない。
そういう心からの思いは、自ずと相手にも伝わるだろう。
だから小十郎さん、第六感働かせてよね。
余韻に浸りつつ別のことに思考を傾けていると、小十郎に自身を掴まれた。
「……なんか気に入らねぇ」
「なにそれ…子供じゃないんだから……んっ、ぁ」
唇を尖らせる小十郎に苦笑するとすかさず強く握り込まれる。
先程精を吐き出して萎えていたそれが、数回根本を擦られると再び頭をもたげた。
熱が集中し始めた頃に、先端を擽るように指先で遊ばれるとひくりと太股が軽い痙攣を起こす。
「はぁっ、そ、れ……やっ、あ!」
腰がむず痒くなるほど弄られ、次いで先端の窪みを刔られた。
強すぎる快感に背が反り返り、髪がシーツを擦る。
一度達したためか、同じ愛撫でも感度がまるで違う。
再び吐精しそうになったが、経験上二回達してしまうと小十郎の動きについていけなくなる。
ぐっと下腹部に力を入れてなんとか持ちこたえた。
「…やけに頑張るな」
「が、くしゅぅ……してんのっ……っ、」
そう切り返してやると、小十郎は口の端に不敵な笑みを浮かべて逸物を取り出し、自身の精液で潤った後腔に押し進めてくる。
「っ……ぅ、く…はっ」
徐々に拡げられていく感覚に、今回は痛みが伴わない。
今日は変だ。
何をされても満たされる。
漏らす呼気に苦痛の色がないことを悟ったのか、小十郎は半端に熱を収めた状態で佐助の背に手をまわした。
まさかと思い身を固くしたが意味はなく、ぐいと上体を起こされ、張りを失っていない胸板に抱き寄せられる。
当然突かれる部位は固定されず、ぐるりと胎内を熱いばかりの肉棒が蹂躙する。
「あっ、やぁ!…っ、ん、ぁ…」
座った小十郎の上に跨がる形。
胸に縋りつつ、耐え切れず相手の腹に精を放った。
脚や腰だけでなく、背や肩までびくびくと不規則に跳ねる。
跳ねるたびに奥まで埋め込まれた楔がいいところを突いて、すぐに自身が変化していく。
このままじゃ自滅する…と薄れる意識の中考えると、額に熱い吐息がかかった。
顔を上げてみると、堪えるように目を閉じて眉を潜める端正な愛しい人の顔があった。
胸に添えていた手を、そっと頬の傷に宛てがうとぴくりと柳眉が動き薄く目が開く。
「う、ご…いて…?」
「……判った」
きっと、二度極みを迎えると佐助がダウンすることを小十郎は知っている。
だからこそ負担をかけないようにと、理性を保っていてくれているのだろう。
優しいなんて…一言で片付けちゃダメだ。
感謝の意を込めて、傷を指で軽くなぞりながらちゅ…と甘く口付けた。
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