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現世乱武小説
●病み付き(左三)


「…っく、ぅ」


左近の自身をすべて飲み込んだが、うまく呼吸をすることもできない。
そんな様子でいながらも、おそらくこちらの身を案じてくれているのだろう。眉間に熱い吐息が漏れる唇を押し当ててきた。


確かに今のままだと左近とて辛い。

しかし、押し潰されるような痛みと広げられる痛み、どちらがこたえるかと訊かれればやはり後者だと思う。

これでも最初に比べたらだいぶ解しやすくなったほうで、それを考えると嬉しくなる。
三成の身体が、左近を覚えているということだから。


腰を支えたまましばらくじっとしていると、次第に三成の息も落ち着いてきて緊張も解けた。

その表情に、苦悶と快感の狭間をさ迷うような色が伺える。


「…はぁ、」

「…動きますよ」

「ん……ひぅっ、んあぁっ」


ゆっくりと腰を動かすと熱い三成の中で自身が擦れ、肩を掴んでくる手に力が入るのが判る。

声には悲痛なものがまた混じったが、その端々には艶やかなものもある。


悩ましげに歪む顔がかくんと下を向いてしまい、見ることが出来ないのが口惜しい。

「っ、やっ…」

じわじわとくる悦さに焦れてきたのか、僅かに腰をうずうず動かしてくる。

処女のようなキツさに加え溶けそうな柔らかい熱を併せ持つ内壁に、正直正気を保っているのがやっとだ。
放っておけば勝手に腰が動いてしまうが、それで満たされるのはつまらない。


「三成さん…加減、出来ないかもしれません」


なんとか理性を繋ぎ合わせて自制しつつ左近が言うと、三成は苦しそうに荒く肩を上下させながらも強気な笑みを浮かべた。


「お前に加減など…はぁ、された覚えは……ないが?」

「ははは……言ってくれますねぇ」


確かにそこらの女と違い、三成には何故か加減ができない。
そこを読まれていたのが予想外で、つい苦笑いになってしまう。

でもま、今のは了承、だよな?


内心で我ながら意地の悪い笑いを浮かべ、左近は容赦なく三成の中を穿った。


「いあぁっ、や、あっ」


衝撃に見開かれた双眸から、ぽろぽろと涙が零れ落ちる。

罪悪感を感じつつも涙を散らす三成を綺麗だと思ってしまう。


「さこ、っ…やぁあっ」

「嫌じゃないでしょう…。こんなに緩くして……前より悦いんじゃないですか?」

「そ、こ…!く、ああぁっ」


角度を変えて固いある部分を擦り上げると三成の口から嬌声が出た。


自分に揺さぶられながらひっきりなしに喘ぐ三成を視界に入れ、ほとんど使い物にならなくなっている思考回路で漠然と考えた。


――病み付きになっちまったのは俺のほうかね…


「ああっ…!さこんっ、さこっ――」

「くっ…三成さん…!」


極みを迎えた三成の内壁の収縮により、張り詰めた左近自身も後を追うように白濁を放った。

びくん、びくんと痙攣して三成は意識を手放し、蕾から収まりきらなかった欲がどろりと流れ出る。


己を抜けばさらに溢れてくる。
くてっとした華奢な身体を、壊れ物を扱うように丁寧に抱きしめた。

少し汗ばんだ髪に唇を触れさせ、きゅっと一度強く抱くとそっとベッドに横たえる。


今までは他人事みたいに思ってたが…
やっぱり遊びなんかじゃない。


信玄とたまたま選んで入った居酒屋。
そこで出会ったという偶然。

神なんて信じたことはないが……もしいるんなら、一応感謝しておきますかね。


小さく笑い、穏やかな寝息を立てる三成の身体に毛布をかけた。


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あきゅろす。
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