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無双小説
●独占欲・肆


薬によって潤んだ内側は、難無く孫市の熱を収めた。
不規則に波打つ肉の壁に射精感を堪えながら、初めから容赦なく擦り上げるとやはり秀吉の口からは甘い嬌声が漏れる。

どれほど強力な媚薬が練り込まれていたのか知らないが、感じたふりをして客を喜ばせる遊女より余程感度が狂っている。


「ぅ…あ、はぁっ」

「…それとも、これがお前だったりしてな」


冗談とも本気ともつかないことを呟き、壁を押し広げるように腰を横にずらして揺すると秀吉が喉を震わせて息を呑んだ。

解けた髪が無造作に畳の上に広がり、楔が打ち込まれる度に擦れて渇いた音がする。
時折り思い出すように声を殺していたが、そんな余裕もなくなってきたらしくあられもない喘ぎ声を抑えられずもうそれが二人の耳に届くことはなかった。


ぐ、と身体を密着させて奥まで楔を埋め込み、間髪入れずにその状態から穿つ。

「んあぁっ!」

突き破ってしまうのではと思うほどの勢いで同じように追い込んでいく。
同時に孫市の腹に秀吉の熱が当たり、律動する度に先端ばかりが強かに擦られて頭の中には赤い火花が散っていた。

「はっ、ぁ もっ…無理…ッああ!」

限界を訴えられると、孫市は秀吉の雄を掴み鈴口に爪を立てた。
直後びくんと背を反らして数度痙攣して高く啼き秀吉は白濁を孫市の腹へとぶちまけ、孫市も熱を抜いて秀吉の太腿に欲をたたき付けて痩身の上に突っ伏した。














「やれやれ…」


秀吉は眠りこけた親友の身体の下から這い出す体力も残っておらず、潰されたまま溜息をついた。

散々余裕をかましていたが、精神的に疲れていたのだろう。胸の上の孫市の頭を優しく撫でてやるものの、起きる気配はない。


苦笑を漏らしながら内心殴ってやりたかった。

理由?
そんなもの、まだこっちの熱が収まっていないからに決まっとろうが。
勝手に火を付けて勝手に寝て。
それだけならまだしも、これほど肌を密着させていながらというのはもはや拷問に近いのではなかろうか。


「…薬や酒に頼らんでも素直になりゃいいものを…」


呆れた奴だ。
女をたらし込むことは数知れずあろうとも、ただの熱の処理に身体を求めるような性格ではないことくらい知っている。
特別な感情がなければ抱いたりしないのだ。

…その程度のことも知らないとでも思っているのか。

そりゃあ今日の今日まで気付かなかった。
実際抱かせろと云われたときも半信半疑だった。
すべてを知ったのは、最初の接吻。


そもそも孫市も孫市だ。
いくらダチとはいえ、儂が…男の儂がああも簡単に身体を開くわけないとは思わんのか。
…自分だからとは、思ってくれんのか。


「しゃあない、あとで弄りながら気付かせてやるわ」


さあ、どんな手を使って知らしめてやろうか。


体中を蝕む熱を捩伏せながら、気を紛らわせようと秀吉は無心で策を講じた。
とりあえず、孫市が起きたら蹴りをいれよう。


fin.

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あきゅろす。
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