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無双小説
●安眠法・参


脱力して敷布に身体を沈める曹操の姿に一番驚いたのは外でもない夏侯惇だった。
毎晩とまではいかなくとも抱いてきた曹操の身体が、まさか胸の刺激だけで極みを迎えるほど開拓されていたとは思っていなかった。

暗闇で視界も良好とは云えない中でも、一度解放した身体がぼんやりと朱を刷いたのが判る。
さらりと熱を持った肌の上に手を滑らせ、夏侯惇は可哀相なまでに赤く熟した飾りに愛おしそうに唇を寄せた。


「…いい身体になったもんだ」

「…主は意地の悪さに拍車がかかったな、元譲」


憤死させる気か、と視線を横にずらし苦々しげに呟く曹操に、相手が俺ならそれも本望だろうと夏侯惇は嘯きぺろりと突起を労った。

そんな些細な愛撫にすら身を震わせる曹操に、もはやいつもの居丈高な余裕はない。
汚れてしまった夜着の裾を割り裂いて下穿きも取り去ってやると、肘に通された袖と腰帯だけで着物を留めた肢体は妖艶なことこの上ない。


濡れそぼった曹操の雄に誘われるように手を添え、根本を緩やかに撫で摩ってやるとすぐに手の中の逸物は変化を見せる。

「ん、くっ…」

身長的に上から見ることが多い曹操の顔を下から見られるのは情事のときだけだ。
その新鮮な顔付きの曹操の表情が苦悩に歪むのが堪らなく気に入っていて、初めどのような体位であろうと必ず一度は正常位にさせる。

しかし曹操はあまり乗り気ではないらしく、夏侯惇が身体の向きを変えようとすると毎回抜けた力でなんとか抗おうとするのだ。
まぁ結局その抵抗すら夏侯惇には薪でしかないのだが。


先程曹操が自ら放った精の効果もあって、夏侯惇の手が動く速度は目に見えて上がってくる。
空気を巻き込むように僅かな隙間を作ってそれを潰しながらしごくと、にちゃにちゃと粘性の強い生々しい音が二人の聴覚を犯す。


「孟徳、最初の威勢はどこに行った?」


大腿をひくつかせながら堪える相手の様子に薄い笑みを浮かべて夏侯惇は訊ねたが、吊り気味の目がむっとしたようにこちらを一瞥してきたのを見ると何を思ったのか空いていたほうの手を曹操の口の前に突き出した。


「濡らしてくれ。変な性癖を持っていなければ痛いのは嫌だろう?」

「……元譲よ」

「ん?」

「…あとで覚えておれ」


半眼で怨みがましく云って、曹操は目の前をちらついていた長い指を一息に銜えた。


唾液を絡めながら指の付け根にまで舌を這わせ丁寧に濡らしていたのに、唐突に口内にあった指に舌をきゅっと掴まれた。
咄嗟に噛みそうになったがなんとか抑え、何事かと指の主を見遣るとそいつは意外にも難しそうな顔をしていた。
常に寄っているしわが更に深くなっている。

口を開けたまま舌を捕らえられていては何も話すことが出来ず、視線だけでどうしたと問うとゆっくり指が離れていった。


「……なんとか云わぬか」

「…いや、やたらといやらしく舐めてくるものでな…」

「なんだ、指を舐められただけで感じたか」

「…お前と一緒にするな」


今度は夏侯惇がむっとする側だった。
同じく半眼で切り返し、曹操の唾液で妖しく光る中指を下にまわして指先のみを菊門に差し入れる。

「っ…、」

曹操が息を詰めるのと同時に、止めていた雄への愛撫を再開する。
裏筋を指の背で圧迫しながらなぞると、キツすぎる胎内がより一層圧縮して夏侯惇の指は追い出されてしまう。
しかし、それが反動で戻ったときには先程よりいくらか潜り込めるほど緩くなった。

いくら濡らしても所詮は排泄用の器官であって、受け入れるようには出来ていない。
限界を感じようとも大事なのは根気だ。


「ふ、っあ…」

「…辛いか」


…だが、その気概すら一瞬にして奪う声が熱い吐息と共に漏れ出してくるとさすがに厳しい。

「げ、んじょ……っ、ぃ…」

次第に大きく指を旋回出来るまでに弛緩してきた密やかな壁に沿って指を増やし、くいと内側に指を曲げた直後曹操の細い腰がびくんびくんと大仰に跳ねた。

「そ、っ…!ぅあ、っは…」

口の端からだらしなく唾液を垂らして快感に浸り込む曹操の目は虚ろで、雄も鈴口から白濁が混じったとろみのある液を辛そうに溢れさせている。

「…孟徳」

指を抜いて儚げに大切で仕方ない者を呼んで、浅く呼吸を繰り返す薄く開かれた唇に口付けを落とし相手の片脚を己の肩に預ける。

これから訪れる快感を想像して眉を寄せる曹操に再び口付けを送り、緩やかに腰を進めた。


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あきゅろす。
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