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「こ、こここんにちは」
アスナの隣に立ったメルは頭が床に付くのではないかという程、勢いよく腰を折り曲げた。
「あら?あら!あら!まあ、まあ!やだあ!」
メルを見た途端に自分の息子に小言を言うのを止めた王妃は、目をキラキラと玩具を買ってもらった子供の様に輝かせ、息子の小さい恋人に、頭から爪先までじろじろと舐めるような視線を向ける。
「ああ!いい!可愛い!なんて可愛いのっ!!」
向こうでお話しましょ!とメルのアスナの半分程の太さしかない細い腕を掴み、強引にソファーのある方へ引っ張って行くナナミ。
勿論、メルはそんな王妃に反抗できる訳もなくなすがままである。
「母上、落ち着いて下さい」
自分の大切な恋人が、可愛いものを愛してやまない母に捕られてしまう、と直感で感じたアスナは、制止の言葉を掛ける。が、もうそんな言葉が耳に届かない程、興奮しているナナミをアスナは止めることが出来ず、メルはナナミの餌食になってしまうのだった。
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